石榴(ざくろ) |
ザクロ科の落葉小高木。平安時代に渡来。秋に熟す黄赤色の実は生食できる。厚い果皮は熟すと不規則に割れる。八重咲きの品種は結実しない。 |
梨子(なし) |
バラ科の落葉喬木、古代から自生していたが、中国産のものにとってかわられた。 |
檎子(やまなし) |
落葉高木。現在のイヌナシ。梨に似た黄色または赤色の実がなるが、小さく渋い。 |
唐梨(からなし) |
バラ科の落葉高木。花梨のこと。果実は黄色で芳香は強いが全体が木化するため生食はできない。 |
柑子(かむし・こうじ) |
現在の柑子蜜柑。古くは蜜柑を指した。果実は蜜柑より小さく、果皮が薄く果肉は淡黄色。酸味が少なく味は淡泊。 |
獮猴桃(しらくち) |
マタタビ科の落葉蔓性低木。現在のサルナシ(シラクチヅル)のこと。5~6月ごろ、緑白色の五弁花を付け、花後、炭緑黄色で楕円形の液果を結ぶ。甘酸っぱく果実酒などに利用される。『宇治拾遺物語』には、源邦正のことを罵った兼通が償いにと、客に”こくは(こくはしらくちの略でしらくちに同じ)”をふるまう場面がある。 |
榛子(はしばみ) |
カバノキ科の落葉喬木。果実は葉のような総苞によって下部を包まれている。 |
栗子(くり) |
ブナ科の落葉高木。果実は堅果でいがに覆われ、熟すると裂開して果実を散出する。 |
小栗(ささくり) |
栗の一品種。シバグリなど実の粒の小さいもの。野生の堅果は甘みが強く非常に濃厚な味がする。 |
椎子(しひ) |
ブナ科の常緑高木。実はスダジイは生食できるが、マテバシイは炒って食べたほうがおいしい。ツブラジイは美味。 |
櫟子(いちひ) |
ブナ科の常緑高木。現在のイチイガシ。実は大型で食用となり、味はシイに似る。 |
榧子(かや・かえ) |
イチイ科の常緑高木。実は棗に似て、広楕円形の核果状で白い核は食用となる。正月の盛物などに用いられる。 |
松子(まつのみ) |
マツ科の常緑高木。チョウセンゴヨウマツの種子を指す。球果は大きく、緑褐色に熟す。『よしなしごと(堤中納言物語)』の中に、翔け鷹が峰の松の実がほしいという言葉が出る。 |
胡頽子(もろない・ぐみ) |
グミ科の落葉または常緑低木の総称。アキグミは10月ごろ赤く熟し、生食できるが渋いので果実酒などにする。ナツグミは6月ごろ熟し、少し渋いが食用となる。ほかにツルグミ・マルバグミなど種類が多い。 |
鸚実(うくひすのきのみ) |
ウグイスカグラを指すか。スイカズラ科の落葉低木。初夏にグミに似た液果が赤熟し、甘い。 |
杏子・唐桃(からもも) |
バラ科の落葉小高木。アンズの古名。中国から古くに渡来。実は黄色に熟し、表面には細かな毛が生える。生食できる。 |
林檎(りうこう・りんご) |
バラ科の落葉喬木。ワリンゴのこと。中央アジア原産で中国から日本へ奈良期に伝来。普通の林檎より小形の実を結ぶ。 |
楊梅(やまもも) |
ヤマモモ科の常緑喬木。実は丸く、熟すると赤紫色になる。味は甘く生食または塩漬けにする。 |
桃子(もも) |
バラ科の落葉喬木。もとは日本在来種の桃(今日の楊梅)を指したが、中国から毛桃が入って後、平安時代にはこちらが一般的になって桃と呼ばれるようになったらしい。 |
李子(すもも) |
バラ科の落葉小高木。中国から古くに渡来。実は無毛で、夏に赤く熟す。果肉は赤色や黄色で酸味があるが、完熟すると甘い。 |
麦李(さもも) |
早桃とすればすももの一品種。果実が早熟する。 |
椿桃・李桃(つはきもも・つばいもも) |
桃の一品種。果実は桃よりやや小さく、無毛で紅熟すると光沢を有する。 |
棗(なつめ) |
クロウメモドキ科の落葉喬木。日本への渡来は6世紀以前。実は2~3cmの楕円形で、熟すと暗紅色になる。ビタミン豊富で生食できるが、乾燥させて干棗にして食用・薬用とする。 |
橘(たちばな) |
食用柑橘類の総称、またはカラタチバナの別称。カラタチバナはカラタチのことで、ミカン科の落葉低木。秋に短毛に覆われた実が黄熟し芳香を有するが、食用とはならない。未熟の実を干して薬用とする。 |
胡桃(くるみ) |
クルミ科の落葉高木。果実はきわめて堅く、種子は食用・薬用・油を絞る。『今昔物語』に実因僧都が8個の胡桃を足の指に挟んで一度に割る話が載っている。 |
酸棗(さねぶと) |
サネブトナツメのこと。大型の核果は酸味が強く食用にならない。種子を乾かし健胃滋養剤とする。 |
阿倍橙(あべたちばな) |
マツカゼソウ科の常緑小高木。クネンボのこと。 |
柚(ゆ) |
ミカン科の落葉小高木。平安時代初期には渡来していたらしい。結実まで年数がかかる。でこぼこした果実は香がよい。 |
柚柑(ゆかん) |
ミカン科の常緑樹。ユコウのこと。ユズの雑種。果実は大きく香気が高い。 |
梅(うめ) |
バラ科の落葉喬木または高木。日本へは奈良時代ごろに渡来。2~3月に咲く花は平安貴族に特に愛された。5~6月に実が熟す。種子の仁は薬用になる。 |
柿(かき) |
カキ科の落葉喬木。日本でも自生、干柿を宮中行事に利用、内膳職の果樹園には柿の木が栽培されていた。甘柿は鎌倉時代ごろから栽培。 |
鹿心柿(やまかき) |
カキノキ科の落葉小高木。マメガキ(シナノガキ)の別称。普通の柿に似ているが、実生は小さい。主に未熟のものから渋を採る。 |
杼(とち) |
トチノキ科の落葉高木。9~11月に実が熟す。種子はでんぷんを大量に含み、あくを抜いたあととち餅を作るのに使われる。 |
枇杷(みは) |
バラ科の常緑高木。初夏に黄色の果実を結び、食用。葉は薬用となる。 |
椋子(むく) |
ニレ科の落葉高木。秋、球形の実が熟すと紫黒色となり、甘みがあっておいしい。 |