飲料

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 主に『類聚倭名抄』や『延喜式』に記載のある飲料について、分類しています。

酒類

御酒糟 醴(こさけ)・醴酒(れいしゅ・あまざけ) 「一日一宿酒」で一昼夜でできる一夜酒のことを指す。アルコール分の発生は少ないが、今日の甘酒とは違い、水を使用せず酒を添えて発酵させたもの。甘味はあるが強い酒だったらしい。6月から7月にかけて醸造された。酒の使用割合が少ない割に製成酒の量が多いため、濾過していないものと思われる。
御酒(ごしゅ) 蒸米・麹・水を仕込む。10日ほどして熟成すると、濾過する。濾別した酒を汲み水代わりにして蒸米・麹をその中に仕込む。醪が熟成するとまた濾過し、濾別した酒にさらに蒸米・麹を加えて次の醪を仕込む。これを4回ほど繰り返す(醞(しおり)方式)。甘口で清酒らしい。
御井酒(みいのさけ) 使用する水を減らし、できた醪を酒袋に入れて濾過した酒。製成酒は米の重量に対してかなり少ない。7月下旬から8月にかけて醸造された。
三種糟 米麹と麦芽を利用し、水を使用せず酒を添えて発酵させたもの。名の通り3種類あり、一種料は精白した粳米、二種料は精白糯米、三種料はうるち粟を使用した。みりんに近い、甘口の酒と思われる。正月の三節会用。
擣糟(すりかす) 使用する麹と水の割合の多い、濾過した甘口の酒。
雑給酒 頓酒(とんしゅ) 米麹の使用割合を減らして作った酒。雑給酒の名から、下級官人への給与酒であるとも言われる。
熟酒(じゅくしゅ) 米麹の使用割合を減らして作った酒。ほかの3種に比べると熟酒はさらに多くの水を使い、できる製成酒も多い。
汁糟(じゅうそう) 米麹の使用割合を減らして作った酒。雑給酒の名から、下級官人への給与酒であるとも言われる。
粉酒(こざけ) 米麹の使用割合を減らして作った酒。雑給酒の名から、下級官人への給与酒であるとも言われる。
二酒料 白酒・白貴(しろき) 10月上旬に作られた酒。搗き上げた白米を米麹と蒸米に分けて造り、水を加えて甕に仕込み、醪の熟成後、濾過したもの。黒酒と共に新嘗会に使用された。
黒酒・黒貴(くろき) 10月上旬に作られた酒。搗き上げた白米を米麹と蒸米に分けて造り、水を加えて甕に仕込み、醪の熟成後、草木灰を混ぜて濾過したもの。白酒と共に新嘗会に使用された。
その他 糟湯酒(かすゆざけ) 糟(かす、酒粕のこと)を湯で溶いたもの。
醰酒・甜酒(たむさけ) 甘口の酒。高級・特級酒。
醇酒(かたさけ) 厚酒、濃い酒のこと。
酎(つくりかへせるさけ) 三度醸し直したという酒。
酵(しらかす) 白い酒で、甘かったらしい。
醨(しる・もそろ) 辛口酒。薄い酒とか濁り酒のことを指すらしい。
醪(もろみ) 滓の混じった濁酒のこと。
肴(さかな) 飲料ではないが、酒の味を引き立てるための添え物のこと。当時は穀類以外のものを指したらしい。