ここはね、自治会と大学が取り決めた「約束の証」があるんだ。これを「確認書」といって、まあ大学と学生双方にとっての条約だね。
3・1確認書(抜粋)1969年
〜全構成員自治の確認〜
2月28日から3月1日にかけて行なわれた前期自治会・後期学生会・大学院生理事会との団交において確認された事項は次のとおりである。
一、学長選挙出向問題について
(3)新しい学長選考には学内全階層(教官・職員・院生・学生)の意志がなんらかの形で反映されることが望ましい。新しい学長選考制度の院生・学生に関する事項についての具体的内容は、評議会団交で決定する。
二、学生自治の原則問題に関して
(1)大学は学生の自治を分断、干渉しない。
(2)学生全体にかかわる問題の交渉権は学生の代表機関が有する。学生の代表機関以外の団体は、学生全体にかかわる問題に関する大学との交渉を行うことはできない。
(3)大学は全学的な重要問題については、学内の全階層(教官・職員・院生・学生)に迅速に報告し、全学の意見に基づいてこれを解決していく姿勢をとらなければならない。院生・学生に対する報告は前期自治会執行委員会、後期学生会執行委員会及び大学院生自治会理事会を通ずるものとする。
1969年3月1日
1・14確認書(抜粋)1972年
〜学長選の制度確立〜
昭和47年1月14日の評議会と前期自治会執行委員会、後期学生会執行委員会、大学院生自治会理事会との団交において合意に達した事項は次のとおりである。
一、学長選考規則内規について次のように改める。
イ、除斥は投票権者総数の2分の1以上に当たる除斥票によって成立する。
ロ、投票権者は本学に在籍する学生・院生の全員とする。
ハ、除斥投票の結果を公表する。
ニ、除斥投票の管理は、学生・院生・教官との共同管理とする。その細部は学生部長選の場合と同様にする。以上の点に関する同内規の改正については学生、院生と教官との代表により構成される起草委員会で起草し、それぞれの組織で決定の手続きをとる。
二、学長選考規則第六条二項および同項に関する内規の改正については学生、院生と評議会との団交での決定を経なければならない。
1972年1月14日
1980年確認書(抜粋)
〜現行学長選考制度の擁護〜
現行制度選考制度をめぐり、1980年7月4日および8日に行われた評議会と前期自治会・後期学生会・大学院生自治会との団交において、まず、1969年3月1日付け確認書などの過去の確認書は、今日のなお一橋大学の拠って立つべき原則を表明したものであり、今後もこの原則にもとづいて大学自治を擁護・発展させるべきことが、当然の前提として再確認された。次いで、上記四者が合意に達した事項は、次のとおりである。
一、30年来続いている本学学長選考制度は、学内的には有効に機能してきた。したがって、いかなる場合も現行学長選考制度をあくまで擁護し、かりに、今後発令拒否という事態になった場合にも、本学の自治理念にもとづいて、事態に対処する。
二、教育公務員特例法の解釈については、本学の自治理念と相容れない文部省の見解はとらない。
1980年9月17日
1981年確認書
〜現行学生部長選考制度の擁護〜
1981年10月30日に行われた評議会と前期自治会・後期学生会・大学院自治会との団交において合意に達した事項は次のとおりである。
1969年3月1日付けの確認書などの過去の確認書に示された理念に基づく学内全階層による自治の一環である本学学生部長選考制度は、学内的には有効に機能してきた。したがって、いかなる場合も現行学生部長選考制度をあくまで擁護し、かりに今後発令拒否という事態になった場合にも、本学の自治理念にもとづいて事態に対処する。ここにいう現行学生部長選考制度とは、学生・院生参加については、規則及び内規という形式で存在する制度を意味する。
1982年1月25日
1983年公開質問状に対する評議会回答
〜現行制度の改廃を目的とする検討は確認書のもとでは不可能〜
貴公開質問状(1983年11月25日付け)に対し、次の通り回答する。
1、「改悪メモ」提出が「全学的重要問題」に含まれるか否か言明することができないとする評議会の態度について
貴方の指摘するように、対外折衝といえども確認書の枠の中で行わねばならぬことは当然である。この枠とは、学長および学生部長選考に関していえば、現行制度をあくまでも擁護する、という本学の基本的態度にほかならない。しかしながら確認書は、その枠の中で、本学の採るべき具体的方策を述べたわけではない。
評議会は、「改悪メモ」の提出が具体的に求められていない現状において、人事上申に係わる事柄につき、何らかの言明を行うことは適当ではないと考える。
2、発令拒否の場合の本学のとるべき態度に関する評議会の見解について
3・1確認書では、大学は全学的な重要問題については学内の全階層に迅速に報告し全学の意見に基づいてこれを「解決していく姿勢をとらなければならない。」としている。その場合、どのような「姿勢」をとるかは、全学的な重要問題が発生した現実の事態の中で考えていかなければならない。
3、現行制度の検討および検討委員会設置が現在の確認書のもとで可能か否か
(1)評議会が、確認書のもとで、現行制度の検討および検討委員会設置が可能か否かについて、言明しないのは、確認書を重視し、現行制度をあくまでも擁護する立場を堅持するためにほかならない。
貴方と評議会との間に、現行制度の擁護の仕方に見解の相違があり、評議会としては、上記の点を言明しないことが現行制度を擁護する方策として望ましいと考えている。
(2)大学執行部としては、現行制度の改廃を目的とする検討及び検討委員会の設置は確認書のもとでは不可能であるが、他方、現行制度を擁護するため、その正当性を裏付ける理論的根拠を自主的に検討することは差し支えない、と考えている。評議会は、この点を充分承知している。
3(2)について。肝心の「自主的検討」の中身だが、「既に決まっている教特法についての本学の立場を文部省にどのように説得するかという以外に、検討すべき問題は存在しない」ということを、回答の席上、担当評議員が言明している。
1983年12月21日
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