第三回 学長との全学対話集会記録

 本文は「声とまなざし」に掲載されたもをご厚意により転載させてもらいました。

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(1998年6月11日、東2号館2301教室にて行われた対話集会の会話の内容のほぼすべてを収録してあります。)


学長:

職員・学生の参加の実質を維持するという検討してきた。実質を維持する=規則から外す〜すべてを公表できないような形での選考というのは、今後将来に渡って一橋に一種の問題を生じさせると考えた。ある段階(1月末〜2月)でそれは「ほとんど絶望的に困難だ」。大学というところは真理探究の場である、すべてについて公明正大でなければならない。そうしますと、これまでの検討内容は、すべてのことを公表できないようなものだった。検討委に提案してご了承いただいた。職員集会でも伝えた。選考結果についてすべてを報告する義務がある。候補者から職員の投票・学生の場合除斥の票数まで。一切の隠し事はできない。

他方で、今大学審議会が審議中、6月の末には中間答申を出す。私自身大学審議会の委員で、二つの部会に所属し、長年の間審議を続けてきた。そこでの審議は多岐に渡る、大学の運営方法、組織のあり方について国公私立の全大学について細かく検討している。審議会は大学学長・教官・学部長・財界人・ジャーナリズム関係で構成。答申→法制化されることになっている。その問題は学長選考のあり方にも及んでいる。

学長選考のあり方について大学審議会は最終的にはどういう答申を出すのか確定はしていない。世界各国の学長選考のあり方は多様だが、学生諸君が拒否権を持っている大学というのは、欧米・日本を含めて非常に少ないわけです。従って一橋のようなあり方が大学審議会で優位をしめることはまずあり得ない。多くの大学は一橋方式を取っていたが、ほとんどの大学はそれを全部改定した。一橋はそれを今を残している国立としては唯一の大学。おそらくそこにですね、国会で法案審議の最中に集中的に論議される可能性が出てくる可能性がある。

その過程で私が心配しているのは、例えば本来教育とは余り関係のない話から始まった行財政改革で5つの改革が最初問題となり、それは必ずしも十分な展開を示していない。郵政民営化とか、省庁再編というところで終わっている。第六番目に教育がつけ加わったわけですが、日本は教育についてヨーロッパの高等教育に出しているお金の6割も出していないわけですが、それも削ろうとしている。18才人口が減っている、大学も減らさなければならないという議論が大手を振るって通っているわけで、クリントンは一般教書のなかで21世紀にはすべての成人が大学教育高等教育を受られるよう財政措置を講ずるといっているが、日本は全く反対を歩んでいるわけで、行財政改革の中で高等教育を、18才人口が減るということがひとつの理由となって切り捨てようとしているわけです。

その中で、民営化・行政法人化が浮上し、昨年の暮れには東大・京大の独立行政法人化が大きく新聞をにぎわせた。その時は国立大学協会も全面的に反対した。理由は、独立行政法人というのはエージェンシーと言われますが、サッチャーが財政構造改革の一環として始めた制度で、イギリスでも大学はエージェンシー化されていない。されているのは、運転免許を出すところなど、比較的単純な業務を行うところが行政法人になっているだけ。

大学がされると、たぶん学長は任命か公募になる。公募は一般人の中から募集して、応募者の中から政府が選んで任命する、従って公募も任命と同様である。そして大学の場合は全く考えられないことだが、大学の研究課題は文部大臣が出す、一橋はこれこれのことをやりなさいと政府が課題を与えて、3年後にその成果を効率の面で評価し、もし効率が悪ければ民営化する。つまり独立行政法人化は民営化の前段階。

しかし日本政府は大学を独立行政法人化するというほうには決定していない。もし決定すれば大学は壊滅的な打撃を受ける。つまり基本的な研究は全くできなくなる。営利に結びついた様々なプロジェクトはあり得るが、3年間で成果を出し、それについて審査期間が審査し、効率悪ければ民営化が唱われているところで、はたしてすぐれた研究者がその大学に残るか、私の予測ではそうなればそうなれば私立大学に流れて行くでしょう。私立大学には建学の精神があるから大学によってはもう少しましになる可能性がある。だから国立大学協会は全面的に反対した。しかしこの道はまだ残っている。行財政改革の最終答申の中で、国立大学も含めて、民営化・行政下は選択肢のひとつとして残すということになっている。

もし完全な民営化になると、一橋では170万から200万の授業料をとることになる。そうなると受験者も減る。そうなれば大学は全面的なリストラをしなければならなくなる。そうなれば存続が非常に危うい。これは各大学が非常に恐れているところ。99国立大学含めて、私学でも潰れる大学が出てくる。鋭意努力している。そのためにどうすべきかを考えているところ。国立大学協会も99大学をどういうふうにしていくか、頭を悩ましている。その際ですね、自民党の文教族も含めて、例えば国公立は理科系を主として維持し、私学に人文社会系を任せることをはっきり公言する政務次官もいるわけで、そういう傾向はかなり強くある。

それともうひとつ、国立大学には国会議員を通して国会に働きかけられる手段を一切持っていない、国立大学全体は孤立無援のたたかいを強いられている。そして一橋はその中でもまた孤立している。どういうことかというと、文部省の中ですらですね、半分冗談話ですが、文部省は独立行政法人や民営化に賛成ではありません、そういうことをすれば高等教育そのものが崩壊することが分かっておりますからなるたけそれを防ごうと努力しておりますが、しかし万一そうなった場合は、一橋は格好の材料だということは半分冗談でしばしばささやかれる。なぜかというと、理科系がないから、そして誤解でありますが、如水会の援助があるから(如水会が大学に援助することは考えられない)。

そういう状況の中で一橋はいまどうすべきかという問題があるが、その問題の中で一橋はたまたま学長選考を迎えることになった。その際に私が何を考えるか、ということを話しますと、私は「大学」というものを存続させる義務を負っていると思っています。「大学」というのは何かといえば、研究教育を行う場であります。研究教育が行われている限り大学は存続します。(中世の話はじまる!?)。しかし現在はそうはいかない、今の大学は様々な研究のためのツールが必要、つまり研究所も必要、図書も必要、コンピュータとかですね材料も必要になってきているし、学生諸君もですね4年間過ごす中で心身を鍛錬する必要があるから当然体育の施設も課外活動施設も必要、様々な施設が必要。そういう大学を、研究教育の場として維持するのが学長の使命だと考える。

そこで現在の状況を考えると、一方で、国立大学は特別会計予算をたくさん喰っていてけしからんという政治家達、この人達はほとんど私学の何らかの関係者であり、そういう声が非常に強い。国立大学協会も非常に苦労している。そして政府は財政改革の中で、国立大学への支援を非常にへらさざるを得ない状況であって、昨年も今年も来年も、一般会計・特別会計も伸びが全くない状態。

そういう中で、大学審議会の答申は法案化されるので、法律になって我々の上にかかってくるわけです。それが法案化される過程でですね、一橋大学の選考のあり方が問題になったときに、そういう声が、つまりそういう声というのは民営化せよ、そういう大学は民営化すればいいんだ、民営化すれば今の選考形態は維持できます、そういう大学もあるわけですから、少数ですが、そういう声が出てくるのを私は恐れているわけで、学生諸君・職員の中には選考に学生・職員が参加しているのは理想的な姿だから維持せよ、という声があるだろうと思います。

私はそれもひとつの理屈がある、ご自分の主張であれば大いに主張されて結構だと思いますが、大学の責任者としてはこの大学を存続させることが一番大事であり、もし大学が不当なことをしているというのであれば潰れても構わないと思います、しかし一橋大学は間違ったことをしてきたわけではない、従ってですね我々は現在の選考制度も維持しながらすべての状況を現状と同じように進めたいと思っていますが、しかしそれができない、ということが明らかになってきたのが昨今の状況。

どういうことかと言うと、20年間我々は選考のあり方について指摘されてきた、それに対して断固として闘ってきたわけではない、常に「メモ」を出して、「考えます・直します・所要の措置を講じます」と言い続けてきた。しかし他方で学生諸君・職員に対して今の制度を維持しますという姿勢も見せてきた。最後の半年前の段階で、民営化・独立行政化の問題が出てきた。そしてこれは国会で政治問題化する可能性がある、そういうときに私がとれる態度はひとつしかない、少なくともですね大学を存続させるにはどうすべきかを考えるということです。

大げさだと思うかも知れませんが、今はそういう状況ではありません。省庁だって消えかねない。省庁の中の本のわずかなひとつ、一橋大学がもしこの世から消えてもですね、日本の社会は別に痛みを感じないでしょう、ほとんどの人は。その時に我々はですね、この125年近い歴史の中で、我々がやってきたことの正当性をちゃんと主張しながらですね、亡んでもいいという考えもあり得ると思いますが、私はそうは思わない。大学というのは125年の歴史に対して責任がありますし、学生諸君に対しても、そして職員の生活に関しても責任あるわけですから、存続する方向ですべてのことを検討せざるを得ない。

その点で、もし我々がいま検討委員会で検討した状況をずっと続けていってうまく行けばいいですが、私はその点についてほとんどダメだ、不可能だと判断した。つまり学生参加職員参加の実質を維持しながらメモを出さない方法というのはない、が私の判断であります。

もちろん検討委員会全員が一致しているわけではない、いろんな見解がまだ多少あると思いますが、そういうことを諸君に赤裸々に訴えて、現状について理解を求めるということについては同意して下さった。したがって職員参加の問題について、職員の参加がどうしても必要だと考えるか、私は全学が一致してですね、職員・学生参加が必要である、そのためには亡んでもいいというのであれば、もちろんそういうことが全学一致するのであればもちろん亡んでいいと思います。それは大学というものは、職員・学生・教官の意志で運営されているものですから、それが大学の自治というものですから、自治の方向がそこにあるならそれでいいと思いますね。

しかしそうでない場合、つまり意見が分かれている場合、分かれる可能性がある場合は、私は学長としての責任を全うする意味からも、本学をまあ存続しうる、研究条件において存続しうる条件を探して、そしてその条件の中で生きていきたいというふうに考えるわけです。

そこで今の状況を言いますと、職員参加については非常に苦しい立場にあるので、これについては職員の声を聞きたいと考えて、対話集会いたしました。学生の参加は現在除斥であります。除斥という形が本当に望ましい形であるのかどうかについても学生の意見を聞きたいと思っています。つまり学生の除斥というのは、本学の推薦委員会で候補が出ますね、これについてこの人は学長の資格がないということを(ごうとして)決めて、過去50年間のあいだに一名除斥投票に該当した人がいたわけであります。しかしこれはですねえ、これは、えー、ネガティヴな投票でありまして、この投票は終戦直後に戦争に加担した人を排除しようというとこから生まれたわけですが、それなりの機能を果たしてきたというのが大学の正式な評価ですが、私はその形を今どうしても維持するために大学の存続をかけてもいいとは考えられない。

大学の自治というものはもっと別の形で、つまり学問・教育・研究の中で維持しなければならないし、そして学生の参加の形は他にもいくらでもあり得るのではないか。もちろん除斥が全面的に正しいというのであれば、それはそれでよろしいし、そういう形で行くことも可能だろうと思います。しかしその際に大学を失ってもいい、というところまでいくかどうかを、あえて問いかけたい。

以下、質疑応答へ

〜学生部長、三自治会の「議論したいこと」については後回しにして最初に学長のお話に即して大状況についての対話をしてからにすると突然提案する〜

フロア:(後期学生会)

学長・評議会の責任を明らかにしてから、大状況の話をしたいと思います。「議論したいこと」を見ていただくと、例えば81年の確認書などでは、評議会は、学長選考制度については現行制度=規則及び内規に明記された今の制度を残していくことを明言してきました。この点については去年検討委員会を設置する際に、評議会としての責任を明らかにしないままうやむやにしてきた。ただし規則及び内規に踏み込む場合には、教授会でも、責任を明らかにすると言ってきた。しかも検討委員会も、基本方針の維持を行えなくなった場合は評議会としての責任をとると言ってきた。しかしこの間、評議会は何らその責任について明らかにしていない。その点について説明していただきたいと思います。更に、今までの評議会の確認書・公開質問状の回答と、現時点での対応の違いについて、もう少し明らかにしていただいた上で、どのような責任をとるのか明言していただきたいと思います。

学長:

この検討が規則及び内規に及んだときは、その時点で評議会は責任を明らかにする。これは確かに社会学部の教授会で説明したと思いますが、現在、規則及び内規に及んでいるわけではないわけで、それを諮ろうとする、それを諮る前に、学生諸君・職員・教官に対して対話集会をしました。そして対話の中で決めようとしているのであって、すでにこれを決めたというわけではないし、提案の中身もまだ出てないですね。こういう提案をしたいと思うんだが、その理由はこうこうこういう状況である、それについてみなさんの意見を聞きたいと言っている。そのやり方が非民主的だと言うんでしょうか。

フロア:

83年の回答では、現行制度の改廃を目的とする検討は行わないという内容の回答をしている。その点についての検討は行わないと、評議会としては機関としてはっきりと明言してきたわけで、その点についてはどうなんですか。

学長:

これをご覧になると分かると思いますが、読むと「大学執行部としては現行制度の改廃を目的とする検討および検討委員会の設置は確認書の下では不可能であるが、他方、現行制度を擁護するためその正当性を裏付ける理論的根拠を自主的に検討することは差し支えないと考える」と回答してますね。で、検討委員会の設置の際にはですね、現行制度の改廃を目的とするとは言っていません。現行制度の実質を維持するためにどういう方策が可能かということを検討したわけでありますが、それは検討はうまくいかなかった、そういう検討は実質的には困難だった、というふうに私は判断したわけであります。それで、どうするかという話を今しているわけで、その検討結果についてご報告しているわけで、それについてみなさんの意見を伺っているわけです。

〜学生部長、再度この確認書違反の問題を後回しにするよう、進行を修正する〜

フロア:

切迫した状況があると思うんですが、一橋がエージェンシーになって、研究ができなくなるのではないかとおっしゃってました。僕もある意味で廃止をさせない、一橋の今のことを維持することが非常に大切だと思います。もしこの現行の制度を改定できたとしても、一橋のそのリスクが残っているんであれば、変えても僕は、あまり意味がないのではないかと思うのと、もしもこの制度を改定したらほんとに生き残れるのか、ということが僕にはよく分からない。もしもできるのであれば、僕もこの制度は間違っていないし、絶対正しいと思っているんですが、余りにも小さな事にこだわって一橋を潰すということもあまりにむごいと思う。ですから実際に、このエージェンシーというのがどのくらいの危険性があるのかということが分からないと、切迫した理由がよく分からないですね。だから僕も維持したいんですけど、追いつめられている状況が本当にどれくらい真実なのか僕たちには理解できない。

学長:

その質問はなかなかいい鋭い質問ですね、なかなか答えにくいです。〜笑〜。この選考制度を変えたら維持できるか、そんな保障はありません。エージェンシーならないか、そんな保障もありません。民営化ならないか、そんな保障もありません。ただしはっきりしているのは、大学審議会での答申が法案化されるなかで国会審議がされる。その時に一橋が現行の選考制度ゆえにですね脚光を浴びる可能性が出てくる。そうすると与党の議員の中からは、その恐れている事態を積極的に発言する要素がいっぱいありますので、出てくる可能性があって、その中で、たぶんマスコミの中でもみくしゃにされながら、思わぬところで我々はそちらの方向に歩まざるを得ない状況が出てくる可能性があることに、私は恐れているわけで、つまり、文部省との間でですねこの問題が解決したからといって、例えばですね、この問題のためにですね、あまり大きな声では言えないから学長見解には書いてありませんが、この問題に関して私が余り積極的に動いてないと文部省は判断したんでしょうが、概算要求に関して非常に大きな障害が今出ているわけです。概算要求がストップするのは命を絶たれるに等しい、しかし給料とかそういうものは出るでしょうね、人権問題ですから。しかし研究に関してプロジェクト等々は来年度来なくなっちゃう可能性がある。大学は今、大きなまあ戦乱期、戦国時代と言ってもいい、つまり99国立大学のなかで最後に生き残れるのはどこか、ということがいまその中で大きな動きになっている。これは大変厳しい状況なんですね。従って、選考制度について文部省と了解が済んだ、文部省との間でのとげがなくなったとしても、民営化とかエージェンシー化の危険性は常にある。従って安心はできない。そうするとですね、大学は、一橋大学の使命をもっと過去の歴史を踏まえながらですね、もっと重大な局面で打ち出していく必要があると、言い換えれば大学院の重点化とかそういう動きがあるわけで、これはですね、審議会もはっきり言っています。大学は、大学院を重点化する大学、教養教育を重点化する大学、あるいは地域に貢献する大学等々、もっと守備を明らかにすべきだ、と審議会は言っています。これはなかなか難しいことですが、研究大学として残るとすれば、大学院重点化をしなければならない。しかしその概算要求がストップされたら、一橋大学はそこで命運を断たれてしまう、ということなる。ということが当面の問題としてあるわけです。あなたが言われた、全体について民営化、どういう危機が迫っているのか分からない、それは当たり前のことですね。我々全員がですね、そういう状況を全部知っているとすれば、それは大変なことです。しかし事は急速に進んでいるということは明らかで、例えば、大学審議会の答申が今月の末に出るということ、そして9月には最終答申になり、来年は法制化されるということ、こういう事実を見れば明らかで、大学に関する法令化、法令になるということは何十年ぶりのことで、かつて・・法というのが出たときにものすごい反対が起こって、学生諸君も教官も、一時これは棚上げになった。それ以来なんですね、大学に関する大きな法律が出る可能性があるのは。そこでもみくしゃにされてからでは遅い。したがって、この選考制度について多少の手直しあるいは変えたとしてもですね、さっき言った危険は去りません。大学はこれから常に緊張しながらやっていかなければならない。しかしですね、研究業績を上げ、教育業績を上げていく中で、自己主張することができます。そして自己主張しながら予算を獲得していきですね、大学自体を中身あるものにしていくことによって、存続を勝ち取ることができます。我々にできるのはそれだけなんですね。予算が来ないというは決定的な事態を意味するわけで、おそらくほとんどの教官は私立大学に逃げるでしょう、そんなとこいられないと、そうなると壊滅的な状況になる可能性があるわけです。従って私の責任者としての立場は、予算を確保し、研究教育を充実する、それが大学が生き残る唯一の道なんです。そこのところがおろそかになっていると、他の制度がどんなに良くてもダメなんです。ですから研究教育を充実させるためには予算の獲得は絶対に必要である、これは私がこの5、6年間に一生懸命やってきたことで、その成果はある程度あった、と思うんですね。しかしこの選考制度のためにですね、ストップされる事態、これはもう事実始まっているわけで、そういう状況の中で、私の責任というものを考えると、これは非常に重大な事態で、今日の問題・明日の問題なんですね。エージェンシー化・民営化はですね、おそらく国会審議が始まった中で起こってくると予測される問題、予測にすぎない、従って起こらないかも知れない。しかし起こった場合は、もう遅い、つまりマスコミに騒がれると日本の社会ではみんなそこになびきますんでね、その時に我々には味方はひとつもないと思います、孤軍奮闘の闘いをせざるを得ないということになる。そういう状態に行かないために今から手を打ちたい、まず予算の確保したい、つまり来年度の概算要求はとにかく通したい、それをですね、(不明)な状況の中で観念的なことを言っていていも仕方ないので、具体的なことについて学内の一致を見て、例えばですね、一橋大学で一番大事なのは民主化だと思う。どこの大学でもそう。民主化の手段というものはいくらでもこれから考えられるわけで、このあいだ職員との対話集会の中で職員がですねこういうことははじめてだと言われた方が何人かおられたというのを聞いて、私も考え直したわけで、今までは組合との集会を半年に一回やってますのでね、しかし組合集会にはほんのわずかな人しか来ませんが、その時は非常に大勢の職員が参加されて、後で意見を寄せていただいたわけですが、そういうことをこれからもきちっとやっていきたいと思います。もちろんその、学内の民主化というのは選考制度とは違う、とおっしゃるかも知れません。しかし今の状況の中で一橋が存続していくためには、この選考制度について何らかの対応をしないと、非常に厳しい事態になるというのは明らかで、そのことを正直にみなさんに申し上げて、みなさんの判断・意見を仰いでいるわけなんです。

フロア:

今の学長の答えは、質問された方に答えてないと思うんですね。大状況として大学全体が厳しいということはよく分かります。結局それが学長の選考問題とどう直接的に関わるかという点については、どうなるか分からないと言ったのみで、あとはやたら危機感を煽る発言ばかりが目立つわけです。〜拍手〜。阿部学長の発言の中に、すり替えのようなものがあったり、誠意のなさが目立つ発言があるんですけども

学長:

誠意がないというのは構いませんが、具体的にどこがないのか。

フロア:

学長の選考制度と直接関係のない大学がおかれている厳しい状況をとうとうと述べられただけで、だからどうして学長選考制度に手を付けなければならないのかという質問に対して、論理のすり替えと取ったのです。

学長:

私は答えたつもりです。概算要求にストップがかかるのは文部省以外ありえない。これは極端的には学長選考に関わってるわけです。それに関わってストップがかかってきているという事態があるということ、これは深い関係があるんじゃないでしょうか。それについて私がすり替えて誠意がない答えをしているというのは、とんでもない間違い。と私は、こんなこと言ってはいけないんです。ほんとはね、文部省が概算要求にストップかけてるなんてことは言ってはいけない、局長もいますからこれは苦い思いしてるでしょう、しかし事実はですねえ明らかにした方がいいと思いますね。事実はそういう事態になってきているということを申し上げたいわけです。過去に学長選考については何十年も議論してきて文部省とやりあいがありますが、概算要求ストップされたことはいっぺんもないんです。

フロア:

学長が先ほど答弁の中でとうとうと述べていらっしゃったのは、大学がおかれているエージェンシー化される危険性があると、この危険性を最も強調されていたんじゃないかと思いますけど、これは学長の選考制度と直接の関係がないと、学長おっしゃったわけです。

学長:

いえそんなこと言っていませんね。もう少し注意深く聞いてほしいんですが、大学審議会の答申が出てきたときに、そこには学長選考制度のあり方が論じられるわけですから、当然国会審議の法制化の対象となる。その時には一橋大学の選考制度は対局にあることになり、そこはたぶん大問題になり、文部省は、えー、おそらく政府から追及されるでしょう。そういう事態になることは予測されるわけです、明かにですね。従って深い関係にある、ということを申し上げたんです。

フロア:

問題になるかもしれないから、とりあえず目立たないように目立つ要素を消そうという風なニュアンスだったと思います。

学長:

さっきも言いましたけど、明らかに法制化されるんですよ。国会審議になるんですね。そこではですね、様々な問題が出てきます。教授会の位置、評議会の位置、学長選考のあり方も出てくるんですね。その際に、そこでの原案がどうなるか、それは分かりません、法案はまだできてませんから、しかし法案ができたときに明らかなのは一橋大学のような形は絶対に現れないと言うこと。それは明らかです。そうすると一橋大学はその対局にあるものとして、マスコミは飛びつくでしょう、そして文部省もその点で政府から追及されるだろうという、そういう焦点になるということを言っているんです。

フロア:

前回も、3月ですか、学生が学校に来ない時期でしたね。それから今日ですね、対話集会をやるという伝達が学生側にされたのが、先週の水曜日、掲示がされたのが今週の月曜日です、そういう不意打ち的な開催をするということ。それから木曜の5限にやるということ、木曜の5限というのは一橋の中でゼミが集中時間であるというのは常識なんですけど、それに対して休講措置、参加を保障する措置が何ら取られていないということ、是非多くの学生に来てほしいという態度が全く見られない。〜拍手〜

学長:

〜簡単に休講はできないということを説明〜全員が集まれる機会があるなら喜んでやりましょう。そういうことがあるんならですねえ。この日が100%集まりますというんであれば、それはそういう提案があれば喜んでやります。もちろんこれから先、三自治会との色々な形での集会がありますから、それはもう一月も前に、学生の方の希望で25日に評議会会合ですね、ですからその時にみなさんがそういうふうに集まれるというんであれば、私も喜んで期待してますれど。学生が集まらない日を選んでやっているという理解は、まーあのそういうふうに理解する人の心情まで忖度できませんけれども、我々はですねできるだけゼミを何らかの形で出席できるようにしてくれとお願いしているわけでね。この集会そのものがですね不誠実だという、まそういう誹謗はですね、・・・・・。

〜会場の雰囲気が悪くなる、不規則発言に対して司会の学生部長が不快感を露わにする〜



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