油絵講座1「あやめを描く」

今回の題材は「白いあやめ」です。バックは青を主体として仕上げることにした。
また、細かな書き込みよりも対象の雰囲気が伝わるような筆跡が 残るように仕上げることに心がけることにしました。


地塗り



キャンバスに地塗り(あらかじめ全体に絵の具を塗り込んで置くこと)をする。 今回は、濃い青で地塗りをしておき乾燥させた上に、 描く直前に改めて全体にホワイトをざっと塗り込んだ。 下塗りの白が濡れているうちにかくことで、 全体の仕上がりがミルキッシュな感じになる物と想定している。




下絵




地塗りの白を生かし、花の部分を残す感じで周囲をブルーで塗り込んでいく。
ブルーもはじめは薄い色から塗るようにし、次第に濃い色で変化を付けていく。 対象を眺めて、かたまりを掴むようにしたい。




描き込み




大まかなバックができたところで花・茎・葉などを描き込む
ここではあまり細かな部分にとらわれないように、 全体の調子を見ながら花や茎・葉の配置やそれぞれの面積比の ボリューム感などを感じられる程度に塗り込んでいく。



描き込みをする段階ではバックの色が花・茎・葉等にも まんべんなく入るように気を付けます



また描き込んだ葉や茎が収まりがよいかどうか背景の色でつぶしたり しながら描き足しや削除を試みましょう。
時には背景全体をトーンを変えて塗りつぶす必要が出てきたりもします。
構図の修正など大きな変更はこの段階で済ませてしまうように、 十分に眺めて検討しましょう。
この中間点が仕上がりを大きく左右しますよ。

描き込み


だいぶ描き進んできたので花びらの細かなディテール等も描き込んでいきましょう。
ここでは花びらを「花びら」としてぺろりと塗って表現するようなことはあえてしていません 対象上の色彩の存在感と言った物をキャンバス上に筆で置き換えていく感じを心がけました。
加えてこのあたりでは、全体の収まりを見ながら各部分の前後関係や明暗の調子など、 少し離れて眺めながら対象の雰囲気が最初にねらった方向性通りかよおく検討しましょう。



仕上がり


どうでしょうか、仕上がり近くでは再度背景の色に気を付けましょう左右の濃淡のバランスや、 主題の白い花が生きてきているかなどこまかに検討しましょう。

さあ、では額に入れてみましょう、額に入れることでさらに絵の収まり具合がよく分かるようになります。

下塗り開始から3時間、この作品もまだバックの処理や花びらの質感に思った通りの雰囲気が出ていないようです。
皆さんも実際に制作しながらそんな絵との対話を楽しんでみて下さい。


今月の画材
油絵基本セット+キャンバスF4   9800円





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