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「大湯環状列石」とは

 
△環状列石を構成するいろいろな組石遺構
 
 環状列石を構成する組石遺構には、いろいろな形態がある。昭和26・27年の国営調査 に参加された後藤守一氏は、これらの組石遺構をA〜Kの8類に分類し、その中の5形式 については、さらに数亜式に細分している。
 
A類 中央に立石を立て、それを囲むように石を組み合わせたもの
 A1 … いわゆる[日時計]と呼ばれるもの
 A2 … 中央の立石が2本のもの
 A3 … 中央の立石が3本のもの
 A4 … 菱形平面の角頂に立石、その間に横長石、菱形平面中央に1本の立石、その立 石と南北の2立石の間に横長石を置くもの
 A5 … A4に類似、中央に立石1本のみのもの
 
B類 四隅に立石を立て、内部に平石を置いたもの
 B1 … 平石を斜めにして隣石に置きかけたもの
 B2 … 平石を地面に置くもの
 
C類 外周に5個以上の立石を立てめぐらしたもの
 C1 … 内部に立石があるもの
 C2 … 内部に平石を置いたもの
 C3 … 内部に石を雑然と置いたもの
 
E類 外周に立石を密接に立てめぐらしたもの
 E1 … 斜めに石を打ちかけたもの
 E2 … 内部に平石を置いたもの
 E3 … 内部に小さめの石を雑然と置いたもの
 
G類 横立石を馬蹄バテイ形に並べ、その内部に大小さまざまな石を雑然と置いたもの
 
H類 外周に立石や斜立石をめぐらし、その内部に小さな石を雑然と置いたもの
 
J類 外周に横立石をめぐらすもの
 J1 … 横立石が斜めに埋められているもの
 J2 … 内部に平石を並べるもの
 
K類 組石の中央に2本の立石があり、さらに四隅に立石を立て、その間に細長い石を 置いたもの
 
 このような形式の違いは、何を意味しているのだろうか。各形式の組石遺構の配置に は一定の規則性がみられ、当時の社会構造や精神文化を反映しているようである。
 
 後述のように、環状列石を組石墓の集合体と考えると、これらの組石は墓標(墓石) と云うことになる。おそらく形式の違いは、埋葬される人の年齢や性別、出自(婚姻等 による他からの移住者か否か)等の違いによるものであろう。内帯・外帯間の特殊な位置 にある「日時計状組石」は、『ムラ』における特殊な人、例えば呪術者や村長ムラオサのもの と考えられる。
大湯環状列石
万座環状列石
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