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大湯環状列石:〔71〕周辺の謎?

△黒又山のこと
 
 古来、山はその威容からして、人々の信仰の対象として崇められる例が多い。 特に、三角形を呈する独立峰にあっては、全国のほとんどの山は、神々の 住まわれる「お山」として、神聖視されてきている。
 
 この黒又山(クロマンタとも)は、大湯環状列石の北東の方向、約2kmの所にある、 標高280.6mの森である。
 大湯環状列石辺りが海抜180m、黒又山の山麓が200m、つまり黒又山は、 高さ80mしかない、「三角形をした可愛い小山」である。
 黒又山の山頂には、本宮神社が南の方 − 大湯環状列石など鹿角一円 − を 向いて鎮座している。神社は昔から南面(又は東向き)して建てられるのが普通である。
 黒又山は、その形からして、その昔、山肌を削ってピラミッド状に変えたのでは ないか、との調査報告もある。
 
 黒又山の裾野には、いわゆる舌状台地が広々と展開し、右側には大湯川、左側には 豊真木沢川、その先端には米代川が流れている。
 あたかも、その山頂に立って下界を遥かに眺めると、鹿角と云う郷を「国見」 しているかのようである(現在は、山頂の周囲には樹木が茂っているので視界が遮られ、 遠望出来ない)。
 
 すなわち、万葉集巻一
 舒明天皇が香具山に登って国見をなさった時の御製歌
大和には 群山(むらやま)あれど
とりよろふ 天の香具山(かぐやま)
登り立ち 国見をすれば
国原は煙立ち立つ
海原は鴎(かまめ)立ち立つ
うまし国ぞ蜻蛉島(あきづしま)
大和の国は
(現代語訳)  大和には、数々の山があるけれど、なかでも特別に神聖な天の香具山、 そこに登り立って国見をすれば、広々とした平野にはあちらこちらに煙が立ち、 広々とした海にはあちらこちらに鴎が飛び立っている、 ああ、良い国だ、蜻蛉島、大和の国は……。
(注1)蜻蛉島……「大和」の枕詞。蜻蛉はトンボのこと。
(注2)ここで詠まれた「国」とは、大分県の「別府」ではないか、との主張もある。
 
[地図上の位置(本宮神社)→]
[参照]
@別掲「配石の目的は?:大湯環状列石と十和田湖との位置関係」
A「本宮神社」
B「万葉集巻一」
C「万葉カメラ散歩」
(H18.02.05)
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