△古事記 上巻 邇邇芸命の天降
 
〈猿田毘古神〉
 ここに日子番能邇邇芸命が天降りなさろうと云うときに、天の道が分かれた所にいて、 上は高天原を照らし、下は葦原中国を照らす神が居た。そこで、天照大御神と高木神の お言葉により、天宇受売神に、
 
「お前はか弱い女であるが、敵対する神に出会ってもにらみ合って勝つ神である。故に お前一人で行って尋ねることは、
『私の御子が天降りしようとする道を、誰が邪魔をしてしているのか』
と問いなさい」
と仰せになった。
 
(天宇受売神が)問われられているときに、答え申すには、
「僕は国神、名は猿田毘古(さるたびこ)の神である。ここに出てきた理由は、天神の 御子が天下りなされると聞いたために、その先導に仕え奉らんして、参ったのである」
と申し上げた。
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