△古事記 上巻 邇邇芸命の天降
 
 そこで、天照大御神と高木神のお言葉により、太子(ひつぎのみこ)の正勝吾勝勝速 日天忍穂耳命に仰せられるには、
「今、葦原中国を平定したと云う復命があった。であるから、委任になったとおりに降 ってお治めなさい」
と仰せになった。
 ここに太子の正勝吾勝勝速日天の忍穂耳命は、答え申し上げるには、
「自分は、天降りの身支度の間に御子が生まれた。名は天邇岐志国邇岐志天津日高日子 番能邇邇芸(あめにぎしくににぎしあまつひこひこほのににぎ)の命で、この御子を降 すのが良いであろう」
と申し上げた。
 この御子は、高木神の娘、万幡豊秋津師比売(よろづはたとよあきつしひめ)の命と 結婚してお生みになった御子の、天火明(あめのほあかり)の命と、次に日子番能邇邇 芸命であられる(二柱)。
 
 このように進言されたとおりに、日子番能邇邇芸命に仰せになるには、
「この豊葦原水穂国は、汝が領有支配される国である」
とご委任された。
「であるから、命(みこと、お言葉)のとおりに天降りしなさい」
と仰せになった。
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