△古事記 上巻 建御雷神と建御名方神
 
 そこで、天照大御神が仰せになるには、
「今度は、どの神を遣わしたら良いであろうか」
 そこで、思金神と一同の神たちが申すには、
「天安河の河上の天石屋にお出でになる、名は伊都之尾羽張(いつのをはばり)の神、 彼を遣わしたら良いであろう。もしまた、この神でなかったら、その神の子の建御雷之 男(たけみかづちのを)の神、これを遣わすべきである。またその天尾羽張神は、天安 河の水を逆さまに完全に塞き止めて道を塞いで占拠しているので、(このことを伝える ために)他の神は行けない。故に特別に天迦久(あめのかく)の神を遣わして意向を問 うことにしたら良いであろう」
と申した。
 そういう訳で、天迦久神を派遣して、天尾羽張神に尋ねるときに、
「恐れ多いことである。お仕えさせていただく。しかしながら、この役は僕の子建御雷 神を遣わすのが良い」
と答え申して、すぐに(建御雷神を)献上した。それで、天鳥船神を建御雷神に副えて 遣わした。
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