△古事記 上巻 大国主神
 
〈大国主神の子孫〉
 さて、この大国主神が、胸形の奥津宮にお出でになる神、多紀理毘売命を娶ってお生 みになった御子は、阿遅鋤(金偏+且)高日子根(あぢすきたかひこね)の神である。 次に妹高比売(たかひめ)の命、亦の御名は下光比売(したでるひめ)の命である。こ の阿遅鋤高日子根神は、今は迦毛(かも)の大御神と申す神である。
 
 大国主神はまた、神屋楯比売(かむやたてひめ)の命を娶ってお生みになった御子は、 事代主(ことしろぬし)の神である。
 また八島牟遅(やしまむぢ)の神の娘、鳥耳(とりみみ)の神を娶ってお生みになっ た御子は、鳥鳴海(とりなるみ)の神である。
 この鳥鳴海神が、日名照額田毘道男伊許知邇(ひなてるぬかたびちをいこちに)の神 を娶ってお生みになった子は、国忍富(くにおしとみ)の神である。
 この国忍富神が、葦那陀迦(あしなだか)の神、亦の御名は八河江比売(やがはえひ め)を娶ってお生みになった御子は、速甕之多気佐波夜遅奴美(はやみかのたけさはや ぢぬみ)の神である。
 この速甕之多気佐波夜遅奴美神が、天之甕主(あめのみかぬし)の神の娘、前玉比売 (さきたまひめ)を娶ってお生みになった御子は、甕主日子(みかぬしひこ)の神であ る。
 この甕主日子神が、淤加美神の娘、比那良志比売(ひならしびめ)を娶ってお生みに なった御子は、多比理岐志麻流美(たひりきしまるみ)の神である。
 この多比理岐志麻流美神が、比々羅木之其花麻豆美(ひひらぎのそのはなまづみ)の 神の娘、活玉前玉比売(いくたまさきたまひめ)の神を娶ってお生みになった御子は、 美呂浪(みろなみ)の神である。
 この美呂浪神が、敷山主(しきやまぬし)の神の娘、青沼馬沼押比売(あをぬうまぬ おしひめ)を娶ってお生みになった御子は、布忍富鳥鳴海(ぬのしとみとりなるみ)の 神である。
 この布忍富鳥鳴海神が、若尽女(わかつくしめ)の神を娶ってお生みになった御子は、 天日腹大科度美(あめのひばらのおほしなどみ)の神である。
 この天日腹大科度美神が、天狭霧神の娘、遠津待根(とほつまちね)の神を娶ってお 生みになった御子は、遠津山岬多良斯(とほつやまざきたらし)の神である。
 右の文中の八島士奴美神より下、遠津山岬帯神より前を十七世の神と申す。
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