△古事記 上巻 天地の初発 天と地が始まったときに、高天原(たかまのはら)にお成り(お生まれ)になった神 の御名(みな)は、天之御中主(あめのみなかぬし)の神、次に高御産巣日(たかみむ すび)の神、次には神産巣日(かみむすび)の神でした。この三柱の神は、みんな独り でお成りになった神で、お姿を隠しておられた。 次に、国がまだ若い出来たてで浮いた油みたいになっていて、くらげのように漂って るときに、葦の芽が出るみたいな勢いの物でもってお成りになった神の御名は、宇摩志 阿斯訶備比古遅(うましあしかびひこぢ)の神、次に天之常立(あめのとこたち)の神 で、この二柱の神も、みんな単独の神としてお成りになって、姿をお隠しになった。 以上の五柱の神は、特別の天の神たちである。 それで次にお成りになった神の御名は、国之常立(くにのとこたち)の神、次は豊雲 野(とよくもぬ)の神、この二柱の神も、独神としてお成りになって、姿をお隠しにな った。 次にお成りになった神の御名は、宇比地邇(うひぢに)の神、次に女性の須比智邇 (すひぢに)の神、次は角杙(つのぐひ)の神、そして女性の活杙(いくぐひ)の神、 次に意富斗能地(おほとのぢ)の神、そして女性の大斗乃弁(おほとのべ)の神、その 次に於母陀琉(おもだる)の神、そして女性の阿夜訶志古泥(あやかしこね)の神、そ して次に、伊耶那岐(いざなき)の神と、女性の伊耶那美(いざなみ)の神である。 以上の、国之常立神から下、伊耶那美神まで併せて神世七代(かみよななよ)と称す る(一番前の二柱は独神で各々一代と申す。次に列挙した十神は、各々二柱の神を合わ せて一代と申す)。 |