△古事記 中巻 品陀和気天皇(応神天皇)
 
〈三皇子〉
 さて、天皇は、大山守命と大雀命とにお尋ねになるには、
「お前たちは、年上の子と年下の子と、どちらが愛しいか」(天皇がこの質問をされた 理由は、宇遅能和紀郎子に天下を治めさようと云う心があったからである)
 ここに大山守命は、
「年上の子の方が愛しく思う」
と申し上げた。
 次に大雀の命は、天皇のご質問になった心中を拝察して申し上げるには、
「年上の子は既に成人しているので、案ずることもないが、年下の子はまだ成人してい ないので、これが愛しい」
と申し上げた。
 
 ここに、天皇が仰せになるには、
「佐邪岐阿岐(大雀命のこと)のこの言葉こそ、自分の思っているとおりである」
と仰せになって、(三皇子の任務を)別けて仰せになるには、
「大山守命は山海の政をせよ。大雀命はその支配している国の政務を行って奏上せよ。 宇遅能和紀郎子は、天津日継(あまつひつぎ、皇位)を継承せよ」
 そこで、大雀命は、天皇のお言葉に背き申し上げることはなかった。
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