△古事記 中巻 大帯日子淤斯呂和気天皇(景行天皇) 〈足柄の神〉 そこ(上総国)から入って行かれて、ことごとく荒れすさぶ蝦夷(えみし)どもを服 従させて、また、山河の暴れる神どもを平定して、(都へ)帰り上られるときに、足柄 の坂の麓に着いて、お食事をされているて所へ、その坂の神が白い鹿に化身して来た。 それを見てすぐに(倭建命は)食べ残した蒜(ひる)の片端を持って、待ち構えてお 打ちになったら、鹿の目に中り、打ち殺されてしまった。 そして、その坂に登り立って、何遍もため息を吐いて、 「あづまはや(自分の妻よ)」 と仰せになった。 故に、その国を名付けて阿豆麻(あづま)と云う。 |