△古事記 中巻 大帯日子淤斯呂和気天皇(景行天皇)
 
〈出雲征伐〉
 そこで(その途中)出雲の国にお入りになって、出雲建(いずもたける)を殺そうと 思って、到着するや、友達として友好を結ばれた。そして、密かに赤檮(いちいのき) で偽物の太刀に作って帯刀し、一緒に肥河で水浴びをした。
 そして、倭建命は河から先に上がって、出雲健がはずして置いた刀を取ってつけて、
「刀を換えよう」
と仰せになった。
 そこで、後に出雲建は河から上がって、倭建命の偽物の刀を腰につけた。それで、倭 建命は、
「さあ、試合をしよう」
と挑戦された。
 そして、それぞれの刀を抜くときに、出雲健は偽物の太刀を抜けなかった。すなわち、 倭建命は太刀を抜いて出雲建を打ち殺された。
 (倭建命は)御歌をお詠みになれるには、
「やつめさす 出雲建が
佩ける刀 つづらさは巻き さみなしにあはれ」
 
 そして、このように平定し(都へ)上京して復命なされた。
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