△古事記 中巻 伊玖米入日子伊沙知天皇(垂仁天皇) 〈丹波の四女王〉 また、その后(沙本毘売)の申し上げるままに、(天皇は)美知能宇斯の王の娘たち、 比婆須比売命、弟比売命、歌凝比売(うたごりひめ)の命、円野比売(まとのひめ)の 命の合計四柱をお召し上げになった。 ところが、比婆須比売命・弟比売命の二柱を留めて、その妹の二柱は大層醜かったので、 本土(もとつくに、親元)へお返しになった。 そこで、円野比売が恥じて言うには、 「同じ姉妹の中で、姿が醜いために(親元へ)返されることが近所に噂されてしまうの で、大変恥ずかしい」 て言って、山代国の相楽(さがらか)に着いたときに、木の枝に取り懸かかって死のう とされた。そこで、その地を名付けて懸木(さがりき)と云うが、今は相楽と云う。 また、弟国(おとくに)に着いたときに、とうとう険しい淵に堕ちて死んでしまわれ た。そこで、そこを名付けて堕国(おちくに)と云うが、今は弟国と云う。 |