△古事記 下巻 大長谷若建天皇(雄略天皇)
 
〈袁杼比売の歌〉
 この豊楽の日に、また春日の袁杼比売が、大御酒を献上したときに、天皇がお歌いに なるには、
「みなそそく 臣の嬢子 ほだり取らすも
ほだり取り 堅く取らせ
した堅く や堅く取らせ
ほだり取らす子」
 
 これは宇岐歌(うきうた)である。そこで袁杼比売が歌を献上した、その歌、
「やすみしし わが大君の
朝とには いより立たし
夕とには いより立たす
脇机が下の 板にもが あせを」
 これは、志都歌である。
 
 天皇は、御年百二十四歳である(己巳年の八月九日にお亡くなりになった)。御陵は、 河内の多治比(たぢひ)の高鷲(たかわし)にある。
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