△古事記 下巻 大長谷若建天皇(雄略天皇)
 
〈吉野の童女〉
 天皇が吉野(えしぬ)の宮にお出ましになったときに、吉野川の辺りで童女に会った が、それは姿かたちが美しかった。
 そこで、この童女と結婚して、宮にお帰りになった。
 
 後に更にまた吉野にお出でになったときに、その童女が(天皇に)出会った所に留ま られて、そこに大御呉床(おほみあぐら、高い座)を立てて、その御呉床に坐って琴を 弾かれ、その嬢子に舞を舞わせた。そして、その嬢子が上手に舞ったので、御歌をお詠 みになった。その御歌
「呉床座の 神の御手もち 弾く琴に
舞する女 常世にもかも」
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