関善こもせ「花輪朝市通信」
花輪の朝市 − 旬の味「春」

 北国の春はなかなか来ないが、ニシン漬けや寒干し(大根)もそろそろ出番が少なくなってきた。
 ひろこかやき(アサツキの貝焼き鍋)が懐かしい季節がやってきた。
 
 ここ鹿角の郷「花輪の朝市」の早春の香りは、バッケ(天然の秋田蕗の薹)から始まる。
 天ぷらにするには、未だ蕾のうちの方が良い。
 青垣山の山腹や深山に生える、野生の秋田蕗の薹は、薹が20〜30p伸びたら、手折って花をもぎ、 煮浸しにしたり、塩蔵しておく。
 
 山菜は、タラボ(タラの芽)アザミ(サワアザミ・モリアザミ)カタクリボンナ(イヌドウナ)ワサビ(山ワサビの花と茎)シドケ(モミジガサ)アイコ(ミヤマイラクサ)などと続く。
 温かくなってくると、ウド(山ウド)コゴミ(クサソテツ)サシドリ(オオイタドリ)ウリィ(ウルイとも、オオバギボウシ)ワラビゼンマイタケノコ(ネマガリダケノコとも、チシマザサ)
 初夏が近づくと、ミズ(ウワバミソウ)フキ(天然の秋田蕗)……。
 
 朝市には、これらの山菜が所狭しと並べられる……。
 
 ところで、ここ鹿角の郷では、ミズと云えば専ら「ウワバミソウ」のことで、アオミズのことは眼中にない。 あのアオミズの瑞々しい緑色のお浸しは、何のへんてつもないところが、上品で清楚な味覚なのだが……。
 
 キノコは、晩春〜初夏には、ワゲ(月ワゲとも、ハルシメジ)、タモギタケ、 また雨の季節になると、サワモダシ(ナラタケモドキ)も……。

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