三、元山のからめ節 ところで依然は、尾去沢鉱山には東側の一大集落として「赤沢」地区、 西側の一大集落として「元山」地区とがあった。このことから旧からめ節 には、歌詞や歌い方に「二つの歌い方」があったという古老の話もある。 昔は、沢が異なれば、生活習慣なども多少は異なり、大げさにいえば、 隣の沢(=山=鉱山)は他国であったのであろう。 元山地区で歌い継がれてきたとされるからめ節を紹介する。 前唄 一 おせや押せ押せ青ばんおせば おせば直りに近くなる ハァドッコイドッコイドッコイナ 二 直りァ出て来る坑夫は勇む ました旦那様お喜び ハァドッコイドッコイドッコイナ 三 直りァ親父の金場を見れば 白(金偏+白)で山積む富士の山 ハァドッコイドッコイドッコイナ 踊 四 からめからめと親父がせめる なんぼからんでもからみたてャならぬ ハァからめて千貫 親父の借金年賦ですませ ハァドッコイドッコイドッコイナ 五 金(カネ)が出る出る白金黄金 鉄も鉛も赤金も ハァドッコイドッコイドッコイナ 六 烏鳴く鳴く床屋の屋根で お山繁昌と鳴く烏 ハァドッコイドッコイドッコイナ 七 金のベゴコに錦の手綱 おらも引きたい引かせたい ハァからめてからめてしっかりからめて 握った手綱をうっかりはなすな ハァドッコイドッコイドッコイナ 八 一に稲利の鳥居が赤い まして直りの金赤い ハァドッコイドッコイドッコイナ 余りがないと歌い子ァこわい ここは良いとこ中のきり ハァドッコイドッコイドッコイナ 九 奥比(金偏+比)奥迄直りで掘れた 五十匁メ六十匁メ腕の先 ハァドッコイドッコイドッコイナ 十 直りァ出て来るお山が盛る 上カミも小前コマエも皆盛る ハァどっこも繁昌どっこも繁昌 ハァドッコイドッコイドッコイナ 十一 朝の出かけに元山見れば 黄金まじりの霧が降る ハァドッコイドッコイドッコイナ 十二 目出た目出たの若松よりも 盛るお山の黄金華 ハァドッコイドッコイドッコイナ 十三 愛宕山から吹き来る風は お山繁昌と吹きまはる ハァドッコイドッコイドッコイナ 十四 田舎なれども鹿角の里は 西も東も金の山 ハァからめてからめてからめた黄金は 鹿角の花だよどんどん吹き出せ ハァドッコイドッコイドッコイナ 十五 踊りァ元山唄田郡山 三味の引く山赤沢アカサ山 ハァドッコイドッコイドッコイナ 余り長いと踊り子ァこわい ここはよいとこ中のきり ハァドッコイドッコイドッコイナ |