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13 からめ節金山踊り

四、石刀節との類似点
 
 石刀とは鑿を打つ鎚のことで、それを右手に持ち、左手に鑿を持って鉱
脈や岩盤を掘削するときに歌うのが、石刀節である。
 古来石刀節は、全国的に各種の鉱山において歌われていたが、ここでは
鹿角地域での唄を調査したので紹介する。
 
ア、鉱山唄(石刀節)
 日本放送出版協会発行『復刻日本民謡大観東北篇(昭和二十七年版)』
(以下『日本民謡大観』という)に収録されている「鉱山唄(石刀節)」
(秋田県旧陸中国鹿角郡尾去沢鉱山)には、次のような歌詞がある。
  ハアー 黄金花さく尾去沢の山、掘れば掘るほど黄金ある
  ハアー 押せや押せ々々下の関までも、押せば港が近くなる
  ハアー 愛宕山から吹いて来る風は、お山繁昌と吹いとくれ
 
イ、石刀節(石頭節とも)
 尾去沢鉱山には次のような「石刀節(石頭節)」が残っている。歌詞の
中の「坑夫(鉱夫とも)」などの語から推測すると、明治以降に歌われた
ものと考えられる。
一、ハアーエー 向こう通るは坑夫さんじゃないか
   白(金偏+白)がこぼれる袂から
二、ハアーエー 坑夫さんとは名は良いけれども
   行けば山奥坑内アナの中
三、ハアーエー 奥比(金偏+比)奥まで直利で掘れた
   五十匁六十匁腕のさき
(囃子)ハッ 一寸掘ってもあの娘の為だよ
   鍋釜売っても良い嬶持たせろ 良い嬶持たせりゃ一生の宝だ
四、ハアーエー 燈竹アカシコ手に持ちアテシコあてて
   歩く姿にわしゃ惚れた
五、ハアーエー 一度来て見れ尾去沢の山さ
   山は黄金の花ざかり
 
ウ、石刀節・鉱山節
 また『十和田の民俗(下)』には、十和田地区民謡一覧として、次のよ
うな唄が紹介されている。
  石刀節
一、ハアー 鉱夫さんとは名はよけれども
   行けば山奥穴の中
二、ハアー 向こう通るは鉱夫じゃないか
   金がこぼれる袂から
三、ハアー 発破かければ切羽が進む
   進む切羽が金になる
四、ハアー 朝の出がけに鉱山みれば
   黄金混りの霧がふる
五、ハアー 愛宕山から吹き出る風は
   お山繁昌と吹いて来る
 
  鉱山節
一、坑夫さんとは名はよいけれど
   夜も昼をもコラー穴の中
二、土方やめさせ坑夫さんにさせて
   わしの穴をも掘らせたい
三、土方殺すに鉈鎌いらぬ
   雨の十日も降ればよい
四、朝の門出に鉱山みれば
   黄金混りの霧が降る
五、あの眼千両だよ無駄石捨てゝ
   真金みたよな婿をとる

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