軒先に寒干しがなくなる頃であったろうか、今度は味噌玉が並ぶ
ようになる。 まずマメ(大豆)をウルガして(水に浸して)から、柔らかく煮る。親戚の家の前庭には、 土壁造りの大きなカマドがあり、大釜が据えられていた。その大釜を借りたり、 又は自家のヒビドで煮たりした。柔らかく煮えたマメは、美味しかった。 それを熱いうちに大臼で、荒めにつき、それを、いわゆる「味噌玉」にまとめる。 味噌玉をワラで包んで、二個を一組として軒先の棒に掛ける。 この光景は、風物詩として大方の人たちの脳裏に刻まれているであろう。 軒先の味噌玉は、乾燥次第にひび割れながら、空気中に浮遊している麹菌が付着 して、カビが生えたようになる。 何日か後、その味噌玉を大臼に入れ、塩や若干の水を加えながらつく。 そして、大きなコガ(杉桶)に仕込んで、蓋をし、オモシ(重石)を乗せる。 大コガは、ニワ(本屋の作業場で板の間)の奥に置いてあった。 蔵のある家では、蔵の中に何ケ年分かが置かれていた。そのような家の 主婦の自慢は、「オレの家の蔵に、○年味噌があるんすぇー」と。 |
[次へ進む] [バック] [前画面へ戻る] |