「松館今昔:様々なこと」

縄綯機

 炭俵を編む縄とか、販売用の縄を綯ってみようと云うことで、 ナワナリキ(縄綯機)を買ったことがあった。ナワナリキは木製で、 近代的な恰好をした、新製品のようであった。 このナワナリキは足踏みで、操作するのは私の役目であった。
 使用する稲ワラは、柔らかく打っておく必要がある。まず、五寸釘を沢山打ち付けた ハケ状(クシと言ったか)の道具で、ワラのシビ(蘂)を抜く。次にワラを打つ。 ワラ打ちは普通は、大きい平たい石の上に、シビを抜いた一把のワラを置き、 木槌で元から先で丁寧に打つ。木槌は、直径五六寸、長さ一尺の丸太状の木に、 一方の木口に、片手で握りやすい太さ(直径5cmで長さ15cmほど) の取手が直に付いたものである。
 この木槌で打つのは難儀でもあるし、能率が悪いので親戚の佐藤家のワラ打ち機 を借りて打った。シビはその家の馬の敷きワラにしたと思う。ワラ打ち機は、 真ん中に鉄製の重い筒が二個あり、その間をワラが通ると、筒の重さでワラが 柔らかく打てるもので、手で回しながら、左から右へ、右から左へと、何回か 潜らして出来上がりとなる。
 
 そのようにして打ったワラを、ナワナリキでいろいろと、 試行錯誤しながら縄を綯ってみたが、 自家用に使用する縄はなんとか我慢出来るが、販売用としては、 なかなか良い製品には仕上がらなかった。それでも、結構綯ったものであった。

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