「松館今昔:松館の共同作業」

肥え配り

 新雪が落ち着くようになると、一斉に肥え配りが行われる。自宅の北側にある 肥塚(コィヂガ)から、夏に刈って腐らした草やワラの堆肥や厩肥 を田んぼへ配るのである。馬橇を利用する者、人力で橇を曳く者、 広くて真っ白い雪原を、まるで蟻のように行き交う。 自分で作った道を他の人が使ったり、他の人が配り終わった道を 使わせてもらったり……。お互い様である。
 
 以前の田んぼは小さく、まず田んぼの中ほどに直径1〜1.5m態度の雪の穴を掘る。 田んぼによっては、二三個の穴を掘る。一個の穴に人橇二三台分を入れて、ワラで 蓋をする。人橇の荷台は細い竹で編んである。
 堆肥の中には、ミミズは勿論、クワガタの幼虫がいたりしたものである。

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