「松館今昔:松館の共同作業」

薪運搬の橇道作り

 以前は、三ノ岳山腹の共有林野からタキギ(薪)を採取していた。 あらかじめ常会などで、各人のタキギ山(伐ることの出来る雑木や柴)をくじ引きする。 晩秋になると、それをタキギ(長さ五尺)に伐って積んで置き、冬に人力の橇で運ぶ。
 一方、黒沢頭(くろさわがしら)には委託林 (共用林野のことで、国有林野の一部)があって、そこでは、 一戸当たり数本のナラなど(くじ引き)の樹木を購入して伐出する。 伐る時期は、山奥のため、冬に伐る。伐り次第、人力の橇で平地まで運び、 平地は馬橇か、又は人力の橇で運ぶ。
 
 これらの雪道を作るときも、共同作業であった(違約金はあったか、なかったか)。
 伐採現場から山元までは、急な坂道のところもある。そのような急斜面では、 橇の後ろに、制動用のタキギか芝を結わえ、引きずりながら下り、 更には、積んだタキギを背中で受け止める姿勢になり、 ツマゴ(藁沓)を履いた両足を踏ん張って、ズーッ、ズーッと滑り降りるのであるが、 私は何度も何度も橇の下敷きになったものであった。

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