下タ沢会によせて(覚書)

歯がため

 6月の1日だったと思うが、「歯固め」という日があった。花輪の方などでは、正 月のお供えの餅を干していたものを食うなどと、民俗を調べた本などにあったが、 わが家では正月のお供えなんて残っていなかったろうから、干餅を食った記憶がな い。ただこの歯固めの日であったと思うが、「ゲンコツ」というのをつくってもら った。炒った大豆を黒砂糖をからめて子供のニギリコブシくらいに丸めたものだっ た。もしかしたら正月の12のオニギリを干していたものをまぜてくれたのかもしれ ない。

 そこでまたデェシコの話しにもどってゆくわけだが、お大師さんには12人の子供 がいて、お腹をすかしていたというから、わが家の正月に12のオニギリをつくって、 仏さんに上げるというのは、お大師さんの12人の子供に上げるといった意味ではな かったろうか。となれば、閏年には13ケつくったから、13ケ目はどうなるだろうか。 まさかお大師さまには、4年に一度上げた、ではないだろうから、わが家のオニギリ はデェシコとは関係ないだろうと、妙に1人で納得している。

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