平成8年(1996)6月27日:秋田魁新報
△参加者ら恐る恐る上陸 鹿角市八幡平字夏井でこのほど「作沢沼を探勝する会」が開かれ、市民ら約四十人 が参加した。作沢沼には植物でできた不思議な浮島があり、参加者はおっかなびっくり ”上陸”していた。 作沢沼は夏井地区から南へ約七`、標高八百bに位置する。参加者は小雨の中、 登山口から約一時間半登って、神秘の沼にたどり着いた。沼の広さは約二f。 その中に、大小三つの浮島がある。一番大きいのは約百平方b、一番小さい浮島でも 約三十三平方bである。 ふだんは風に吹かれて沼のあちこちを動き回っているというが、 今回は偶然に岸近くにあった。 先に上陸した人が、岸にいる人とロープで引っ張り合って浮島を引き寄せ、 参加者が次々に島に上がってみた。大きな浮島には三十人も乗ることができ、 櫓(ろ)で自由に動かせるという。 この浮島は一説によると、岸辺の風倒木の上に腐葉土がたい積し、岸から 離れたのではないかとされる。大きな浮島の上から水中をのぞくと、確かに底の 方に樹木がある。その上にミズゴケなどの植物が密生しており、水上の湿地帯の趣だ。 モウセンゴケなどの高山植物も一面に生えており、所々にモリアオガエルの卵 もあった。 この沼にはテツギョなどもいるとされており、向き長な自然として同市教委でも 注目し、調査を進めている。 浮島で自然の不思議を体験した参加者は、タケノコ汁で腹を満たし、八幡平の 自然を堪能していた。沼のほとりには白沢神社があり、昭和五十年ころまでは、 六月の例大祭の宵宮に、氏子が登ってお参りしたという。 |