平成10年(1998)6月29日:北鹿新聞
△大小三つの浮き島”試乗体験”に歓声 大小三つの浮き島があることで知られる沼の神秘に迫ろうと、 「作沢沼を探勝する会」が二十八日、鹿角市八幡平夏井地区で行われた。 ふもとから一時間半の登山を経て沼に辿り着いた一行は、モウセンゴケ、 ミズギボウシ、ミズゴケなどに覆われた不思議な浮き島に引かれ、 さっそく”試乗体験”。風倒木で押すといかだのように動く浮き島から、 未知なる自然の魅力を感じ取っていた。 △若老男女50人が参加 鹿角市の秘境、作沢沼(旧称・白沢沼)は、夏井地区から南へ約7`、 海抜八百bの高山に位置する火口沼。面積は二fで、最深部は二二.五b。 人も乗れる浮き島が大小三個存在し、コイとフナの雑魚といわれるテツギョが 生息するなど”神秘の沼”として知られる。 地元夏井地区の有志らが主催するイベントは、作沢沼のほとりにある作物・家畜 の神、白沢神社の例祭に合わせて毎年開催。実際に浮き島に乗ってみたり、 周辺の高山植物や繁殖期のモリアオガエルの卵塊を観察したりするなど、 自然の魅力を満喫する。 主催者側では今年、沼を訪れた人たちが雨宿りできるようにと神社の新築を企画。 今回のイベントは、参加者に屋根材の運搬協力を呼び掛けた結果、賛同者約五十人 が集まり近年最高の盛り上がりとなった。 この日は心配された雨も上がり、午前九時十分、参加者は参道入り口から まぼろしの沼を目指し登山を開始。一時間半かけて目的地の沼に到着した参加者は、 眼前に広がる神秘的な沼に目を見張りながら、さっそく、浮き島を引き寄せ 試乗体験。最初は恐る恐る足を踏み入れた参加者も、時間がたつにつれ、 不思議な乗り心地を堪能していた。また、神社落成を兼ねた例祭の神事も 厳かに執り行われた。 昼には途中で採れたミズ、タケノコなど山の幸も使ったなべっこを 囲んで昼食。「来年もぜひ参加したい」などと会話を弾ませていた。 |