△2000(平成12年).8.15〜16 秋田県鹿角八幡平:樫内域
小岩清水(探訪、記録、考察)専修大学附属高等学校:地理担当 .
鹿野松男(調査支援、記録)八戸工業大学附属高等学校:地理担当 作沢沼調査探訪は、平成12年(2000)6月27日の秋田地方紙に掲載された 作沢沼神事紹介の中で、神事の一端に湖水に存在する浮島に乗って自然を 楽しむ、という事と浮島が大中小と三つ存在しているという部分に興味を持った 事による。その後、同地方紙には7月7日になり、「不思議な沼」として取り上げられ ていて、6月27日の掲載文を読んだ人から、「貴重な自然を大人達の遊び場にして いるのではないか、不見識だ」とのお叱りの電話があった事に対して、 記者としての説明不足であった反省と真意の理解をいただきたいという文が 掲載されていた。 そこには、現在の日本列島各地で発生している自然保護の在り方や方法論の 違いの錯綜があり、作沢沼を古くから神域として守ってきた地元・夏井地区の人々。 その神事の大切さを表現しようとし、自ら奥山探訪に参加し、広く人々に知らしめよう とした善意の記者。さらに、この記事が引き金となって最近の自然探訪ブームの 波が押寄せた場合の破壊を心配する読者。それは対立するものではなく、互いに立派な 自然が荒廃してしまう事をくいとめ、神秘的な景観を将来に向けて大切にすべきであるという、同じ方向性にあると感じたからでもあった。 作沢沼の自然について、多彩な角度から注目している人がいて、その人々が真摯な 立場から発言し、行動しているのは良い事なはずである。それ程の立派な自然があることは、 公害列島と言われ、自然環境の破壊が拡大し続けている日本では、一つの救いなのでは ないだろうか。とても古い時代から、この土地に生活する人々によって 大切に守られてきた作沢沼と、この沼に宿るという自然神との関わりは、数多くの 傷ついた自然を見てしまい、人と自然を対立としてしか捉えられなくなっている現代人 にとって、貴重で潤いに満ちた自然観を取り戻せる場なのではないか、その様な 直感が東京から北に600km・北緯40度02分50秒:東経140度46分50秒:標高760mの 作沢沼に対する探訪にと向かわせた。 |