昔といっても約2千年前といわれているが、曙村(鹿角市八幡平地区)大久保
の「へとばし」というところに白沢沼(今もそこが谷地になっている)がありまして、
そこに御神体があって、作物や家畜を加護していましたが、場所が通行のたびに不浄
されるので、どこかへ移ろうと考えられ、御神体が乗馬の姿になってでかけました。 まず、夏井の中館にある沼(今も白沢の目といわれて、2個並んで小さな沼がある) にて馬を休ませ、また、樫内の六右衛門の庭で一休みして作沢(山峡)にはいり、 「みそぎの滝」で身を清め、一路白沢沼(さくざわぬま)へと向かわれ、そこを住居 となされました。 もともと作物や家畜の神としての加護が大なるものがあったが、 この沼に鎮座してからは、益々霊験あらたかとなったために、 かねてより信仰する村人達が神社を建立して御恩に報ゆるようにした。また、 家畜の神であるが故に、参詣する7日前から牛馬の肉を食することが禁じられ ている。 また、沼の水の湧き出ているところ(出水口のことか)が、 現在は10m位の幅で土手のようになっているが、 約四十年前まではかなり幅があったそうです。ところが或る日霊験を恐れぬ若者 数十名が沼の水を抜きとり、魚類その他の幸を獲ようとして手に手に土方道具を かついででかけました。一生懸命掘り崩し、あと少しで全部掘り終るところで お昼になったので、まあゆっくり昼食をしてからということになりました。神前の 広場で昼食をはじめ、一休みした後、午後の仕事にかかろうと現場に行って 見たら、あな不思議、その土手には御神体があらわれ、今まで掘り崩されていた土を 元のように築いているではありませんか。若者達は神霊に詫びるいとまなく、 我先にと逃げ帰ったとのことです。 |