鹿友会誌(抄)
「第九冊」
 
△文芸
○鹿友会之歌   諏訪冨多作曲
(一)
 天地黄金の色はえて、晴れ行く闇や東海に
 みなぎり起こる新潮(にひじほ)の、香りに匂ふ朝日かげ
 七彩(しちさい)四方に輝けば、扶桑の栄え今将に
(この一番の歌詞は、推定です。SYSOP)
(二)
 清河の水の野を洗ひ、瑠理を流せる西東
 高峯聳ゆる花咲けば、麗らに曇る天つ影
 天の精励あもりして、我が古里に宿りけん。
(三)
 五岳の峯に雲明けて、靉びき渡る朝ぼらけ
 十湖(とこ)の心(むね)に月落ちて、波に光の揺ぐ時
 聖き思の通ふらん、吾等が力は燃ゆるなり。
(四)
 春東台の桜ばな、秋向島の月のかげ
 学びの暇を慰めつ、帝都の空に昨日今日
 健児勝れる鹿友の、春秋此に二十年。
(五)
 顧みすれば星移り、物又変り自づから
 寄せてはゆくや年波の、波の運命(さだめ)に興亡(おきふし)や
 されは吾等の譽ある、健児の会は永久(とこしへ)に。
(六)
 小手を翳して見渡せば、不安の真暗し銷つゝ
 東海晴るる朝光、豊けき影に栄えあり
 されば四大の荒びをも、鎮めて起(た)たん時来る。
(七)
 業(わざ)は固より百千(もゝちゝ)の、道又さはに分かるれど
 汝が執る所行く所、友に乗る船「鹿友」に
 「まこと」の楫を手(た)握りて、理想の海に漕出てん。

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