鹿友会誌(抄)
「第九冊」
 
△会員死亡
○賛成員奈良正敬氏、昨年病を以て町長の職を辞し、静養に力を尽されつゝありしか、 薬石効なく本年五月、遂に長逝せられる
 
○井上米次郎氏、昨年夏、山形区裁判所判事に転任せられしか、宿痾再ひ発して溘焉と して、任地に没す
 
○大里政吉氏、羽翼漸く成りて、将に雄飛を試みんとするに当り、何等の不幸ぞ、昨年 四月十六日、入湯後、突然脳溢血にかゝり、其儘不帰の脚となれり
 
○小田島仁郎氏、大舘、京北、盛岡等の中学に遊ひ、俊才の名高く大に望を嘱されしか 、先年来、病魔の襲ふ所となり、呻吟久して立たす、遂に病を郷里に養ひしか、昨夏又 白玉楼中の人となりぬ
 以上、諸氏を失ひたるは、本会の深く哀悼の情に堪へさる所なり
 
○石川壽次郎君、軍艦厳島の副長として、今春来、遠洋航海中なりし君は、悼哉七月二 十五日早朝、佐世保海軍病院に逝去せられる、本会の先輩として、赫々の武勲は猶ほ耳 に新なる所、而も君の雄図は、更に以後の活動に多大の望を期待せられしが、一朝の嵐 、君が英霊を吹き去るに至りては、本会、哀悼の情、何れの世にか尽きん噫

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