鹿友会誌(抄)
「第四十三冊」
 
△ふるさとの歌   佐藤勝市
(久々にふるさとの人となりて)
 久々に健かにしてふるさとの 神拝めば涙こぼるゝ
 久々に拝む故郷の山と川 懐しきかな有難きかな
 安らけくつはものねむる故郷の 丘にぬかづくしばし声なし
 楢の木の枯葉二三葉散りけり つはものねむるふるさとの丘
 わが乗れる小汽車の走りのろくして 故郷の山夕空に見ゆ
 秋空に遥けく遠くふるさとの 山見えそめて心躍るも
 朝靄は静かにゆるゆるはれ行きて 見えそめにけり五の宮の嶽
 そのかみの思出にして仰ぎ見る 五の宮嶽の秋朝の靄
 目になれし山にはあれど久々に 仰げばいとゞ神々しきかな
 秋空にはるけくも見ゆ岩手山 昔変らぬ姿なるかな
 秋晴れし日なり久々故郷の 丘にし立てりうつる心に

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