鹿友会誌(抄)
「第四十一冊」
 
△秋季雑詠十句   渡邊冬園
 葉すがれの烏瓜赤くさがり居り
 毬栗を下駄にはさみて阪下る
 向きむきに咲くコスモスや風の跡
 待宵や実をはぢき居る鳳仙花
 喧嘩の子一人となりて葉鶏(奚偏+隹)頭
 百舌が鳴く上野の森や絵に歩く
 ポケットに一つ残れる木の実かな
 温泉の宿の夜寒の廊下つやつやと
 ぼんやりと待つ応接室や秋扇
 雨晴れし公園の萩爽かに

[次へ進む]  [バック]  [前画面へ戻る]