鹿友会誌(抄)
「第四十一冊」
 
△思ひ出の記事
○会誌から拾った断片
 次に会の原動力たる資金方面を探求して見よう。試に昭和十一年より過去四ケ年に遡り、賛助及 修身免除会員(三十五名)を除ける会員数、並に会費納入額を調べたるに、未納者の意外に多数 なのには、実に一驚の外はない。
 
年次    会員数 会費納入額  未納額(会費一人に付一円と見倣)
昭和七年 三〇六名  一二七円 一七九円
〃 八年 三一二〃  一四一〃 一七一〃
〃 九年 三二五〃  一五七〃 一六八〃
〃 十年 三三七〃  二〇〇〃 一三七〃
〃十一年 三四五〃  一七七〃 一六八〃
 
 然らばとて、会則十二条第二項の段平を振り翳しして、除名する訳にも行くまい。是れが整理には 其人を得てゐる訳だから、敢て贅言を要せんやだ。
 創立五十周年記念事業の一として、奨学資金大募集をせらるゝ事に決定、依ってペンを握った序でに、 既往に於ける該資金寄附方面へ目を転ずるに、是れ又甚だ香ばしからざる数字が現はれて来た。
 
寄附申込数    金額(円) 払込完了者数      金額(円)
  八八名 二八、六八五・〇     三〇名 一七、〇二一・五〇
 故に未払人員実に五十八名にして、寄附申込者数の六六・〇%の多数、其金額一一、六六三・五〇円 の巨額、即ち送金額の四一・〇%を示してゐる。
 是ら更らに在郷並に地方、及在京の二つに分類せるに、
区別   未納者数     金額(円)
在郷    四六名  一〇、七四六・〇
地方及在京 一二〃     九一七・五
 
 猶ほ未払者の内、昭和十一年末迄に死亡せられたる員数、左の如し
区別    員数   金額(円)
在郷   一六名 二、九五五・〇
地方及在京 三〃   二四〇・〇(内一名遺族に於払込中、他一名は払込完了)
 若し仮に死亡せられた十九名、其金額三、一九五・〇円を現在の未払高一一、六六三・五円より 差引も、生存者三十九名分、金額八、四六八・五〇円となる勘定、そんな事は百も承知、余計な 御世話と鉄槌頭下?、兎に角此辺も充分考慮に値するものがある。
 如何なる禿筆も、永く握ってゐる内に乏しい智慧が顔を出して来そうであるから、是れで擱筆、 謹んで会員諸賢のお健康とお幸福を祈る。
(旧暦七夕祭の日)

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