鹿友会誌(抄)
「第四十一冊」
 
△思ひ出の記事
○鹿友会思ひ出のまゝ − (大正から昭和まで) −
◇会合の上に現れた時代色
 更らに鹿友会在京会員の例会、総会等会合の様式に付て顧るならば、夫々の時代色が現はれて ゐるのも面白いと思ふ。
 大正の初期より中期迄は、なほ明治時代の名残りを匂はし、所謂「デカンショ」時代とでも 申しませうか、元気溌溂たる青年学生中心の会合であって、恰もピチピチ跳り上る若鮎のやうで あった。
 
 それより以後中期、即ち関東大震災を一転機として、あらゆる方面に急変を来たした原因もあらう、 時の流れとともに、青年学生中心より、漸次壮年社会人中心の会合と変り、昭和の今日に於ては、 純然たる社会人の会合の如き観を呈してゐる。而も近年、学生諸君の入会がめっきり減りつゝある ことは、誠に困った事である。
 私ども会員が、刮眼大いに考究を要する問題と思ふ。お互の問題として。

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