鹿友会誌(抄) 「第四十一冊」 |
△五十周年祝辞 本日はこのお目出度いお集りに私までお招ぎ頂きまして、まことにありがたう存じました。 県人会・郡人会、或は同郷会等いろいろございますけれども、五十年も前からつづいて 居りますのは、或はこの鹿友会だけではないでせうか。而もこちらの会は基礎も固く、 大変お金持ちで、奨学資金を貸与して居るなどは、どこにもございません企てであります。 鹿角郡と云へば大きい郡でもありませんのに、川村前法相初め、御出席の石川中将閣下や 各方面に傑出した方が大変多く御活躍なさってゐられるやうであります。私共の同人である 福田豊四郎画伯もこの会員で、将来は平福先生のやうに皆様から期待されたゐるやうで ございます。郡の大きくない割に、傑れた方が多く出て居られるし、このやうに鞏固な会など お持ちになって居られる事は、一寸不思議のやうにも考へられますので、私も先程から、 これはどうした事であらうと思ひつつあったのでございますが、これは要するに、皆様が、 鹿角魂に生きてゐられるのだと存じられます。 明治の御維新に御苦労なされた、あの鹿角魂が今日このやうな鞏固な睦しい会を生んだ のではないでせうか。主に殉じていたましい御苦労をなされた、御先祖様を思ふ皆様方の 心のつながり……尊い信念が、このやうにも盛大な、外に例のない会となったのではない だろうかと、私は思ひ乍ら、このおむづましい皆様方をながめて居りました。どうぞ、 皆様おすこやかに、この会の益々御発展あられますやう、切においのり申しあげます。 今日はまことにありがたう存じました。
秋田社
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