鹿友会誌(抄)
「第三十七冊」
 
△弔 黒澤小次郎君   高橋克三
 寒風身にしむ二月四日、突如として本会地方委員黒澤小二郎君の遠逝を伝へられたことは、 誠に痛ましく悲しいことでありました。
 君は幼く頴才の誉れ高く、明治三十二年若くして母校毛馬内小学校に教鞭をとり、 幾多子弟の薫陶に精進すること十有余年、傍ら母校同窓会に干与して、或は煩雑なる 同会文庫の事務を処理し、或は会誌の刊行、基本金造成等の画策宜しきを得、又毛馬内 青年団の前身たる青年会の創設に尽して、功績の大なるものがありました。
 
 大正五年、毛馬内町吏員に挙げられましたが、君が練達せる事務的手腕と、其の調和的 性格とは、常に同僚間に重きをなし、昭和五年三月其任を終る迄、前後十有五年町自治の ために尽されました。その間、鹿友会の地方委員として中央との 連絡の衝に当り、地方通信や、会員相互の親睦に力を致された隠れたる功労は、大なる ものがありました。
 
 君又夙に文芸に志あり、小蓉の雅号を以て、或は評論に、或は小品文に、其文藻湧くが 如く、又詩歌を能くしたことも、皆人の知る処にあります。いまや其の人亡く、 追惜の情、転に切なるものがあります。茲に謹で哀悼の意を表します。

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