鹿友会誌を紐とく
第二十冊(大正7.8)
 
△「蘇れる東北 東京日々新聞記者 竹亭主人」(大正七年四月東京日々新聞掲載)
 多年凶作不作であった東北にも、好景気の風が吹いてきた。米価高騰、養蚕上景気、 薪炭の値上がり、材木需要増加、藁細工(カマス)多注文、電気事業、化学工業等盛ん に起こる。鉱山熱勃興、砂鉄・銅山が発見。
 蘇生したる東北、ここには転地ことごとく新たに、万象生々として民衆の喜悦が表徴 せられる。
 清酒売れ行き好く、米食の増加により米の需要促す。
 明治四十三年凶作、外米特別販売の看板があったが、今日は見当たらないのみか、流 行の呉服、洋反物、雑貨品等の広告が賑わっている。汽車の乗客も増加している。今や 農村の薄暗い重苦しい空気は破られ、清新軽快な気分が漂っている。
 東北を旅行して、今回ほど暢々とした心持を経験したことはない。
 
△「秋田の郷友会便り 秋田 小野寺生」
 他郡の奴に敗けるか……六十年前の官軍、賊軍という睨みあった遺恨は、まだ腹に残 留していると見ます。
 県議等を招き、投資を仰いで、切りタンポを仕入れる。
 
 関達三氏演説「諸君は徹頭徹尾真面目になれ、余は不真面目をあくまで排斥する。諸 君はまず真面目に切りタンポを食ひ給へ、而して真面目に勉強し、真面目に働くんだ。 諸君にしてドラを打たんとする者は、真面目にドラを打て、真面目に放蕩せ、真面目に かいたカサは名誉の勲章である。真面目なセンキは不真面目な大臣にも勝る。余はここ に於いて、真面目に歌ひ真面目に躍らん」と向こう切って「ぢんく、おーどーりの始ま るー時は……」と声を振り上げ、立ち揚って真面目に品を作ったもんだから、若年の学 生諸君、残らず起って雷同、席上はまるで鹿角の盆が来たようでした。
 
△由利郡より鹿友会に対し照会
 貴会、秋田県に於ける最初の育英事業実施団体なりと聞き及び、事業の現況、組織方法 等お教え請う。由利郡図書館
 
△東京本部より在郷会員に対する希望要件
一、会費集金に関する件
一、賛成員推薦は本会の重大事項なるが故に、夏期大会に於いて独断的推薦をなさざる 事
一、会員動静及名簿は編集困難なるが故に、地方委員その他在郷会員の於いても動静転 居及故里の近況は、かなり東京本部に通知せられたき事
一、地方会員上京の際は、幹事及幹事長を訪れ、本会に対する意見を交換されたき事
一、例会に出席する者極めて少数なるをもって、出席を懲慂すべき方法に対する意見
一、六年七月二十一日、丹野賛成員死去につき、本部より弔詞を贈りしに、令息より 礼状に接せり、尚夏期大会に於いて同氏の追悼会を行うべき事
 
△会員名簿(大正七年)賛成員三十四名、
 正員、東京五十八名・郷里八十六名・地方七十七名

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