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鹿友会誌（抄） 「第十一冊」 |
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△文芸「和歌俳諧数句･詩吟数首」 ○瞳 鎌田倉藏 我れ叫ぶ孤独の敵の優瞳 如何なればこそかくぞ泣かしか 我が瞳君が瞳々と燃えつゝも 天に登れよ永久に離れず 我が胸は君が瞳を囲ふため かく熱するや君よ知らじな 彼の君の瞳の光浴びてより 胸の著葉は陽炎に燃ゆ ○胸の心 同 我が胸は月影落ちて愁へ置く 空に似るかな君と別れて 吹くまゝに揺ぐ若葉に似たるかな 情に動く若人の胸 我が心暗を伝へてくれないの 君が唇尋ねつゝ行く ○富士颪 同 富士颪七里が浜の浪白く 砕けて散るよ吹雪さながら ○（俳句） 同 清水湧く音の濁りて蝉時雨 蝉の羽の夕日に光る木立かな 馬なけど清水もなくて枯野かな 卯の花のにほふ小川や雨後の月 千鳥なく卯の花河原や朧月 卯の花や三里の小川香ひけり 青嵐山案子の笠の飛ばぬほど 豊年を破れ衣の山案子哉 柳ゆに大家の門やぼん踊 振袖に語たらんかゝる柳かな 燭暗く大古に似たる踊かな のどけさよ鯉の泡なく夏の湖 ○夏目山居 暁雲庵主人 不願都門媚貴権 不求盛服坐華筵 緑陰乗興徐々歩 茅屋支肱栩々眠 古澗泉声神爽快 青苔満地楽陶然 涼風滌暑披襟処 隔水時聞抑岸蝉 ○大湯温泉雑吟 二首 同 詠而帰矣堪払愁 洛泝身覚自温柔 霊泉沸出何天福 療得宿痾万慮休 ○又 同 小楼門静対長川 高下乱山翠接天 投浴浮生閑半日 爽然幽絶好温泉 ○詠虎 同 挙頭一嘯伏羆熊 電目耽々気勢雄 試比武人誰得似 宛然与鬼将軍同 ○追悼龜 同 人伝長寿万年龜 寿不万年何太奇 腸断一朝忽焉斃 慇懃埋骨不堪悲 |