「鹿角」 |
△五 鹿角と特産 <花輪の柳行李> 花輪町に於ける杞柳コリヤナギ栽培、並に柳行李製造の熱心なるは工藤治六氏である、岐阜県本巣郡 西堀彌一氏に就き、約一年間栽培技術を研究すると共に、行李製造方法の実地を習得して 帰り、盛んに之が栽培を宣伝し、職工養成に努めたのであった。 是より先明治三十九年、当時の郡長河野隆性氏関西地方巡視の時、鉱煙毒劇甚地に杞柳の 栽培せられ、よく生長せる状況を視、鉱業地たる本郡に試植せしめんとして、自ら但馬国 城崎郡豊岡町に出張し実情踏査の上、郡役所構内に約七畝歩の杞柳苗圃を設置し、之を奨励したので、 工藤氏は率先して之が研究に従事したのであった。 同氏の杞柳圃は約二町歩に近く、畦間二尺、株間八寸に栽植せられたるもの、反当約百貫 を得ると云ふ。 病害としては無く、□虫小金虫等の虫害少しあり、寒害の憂ひなく、生長の度頗る行李製作 にふさはしきものありといふ、花輪の一特産たるを失はないのである。 |