「鹿角」
 
△四 鉱業地としての鹿角 尾去沢・小坂・不老倉・其の他
<緒言>
 鹿角を旅行して、其中央を貫通する県道の上に立つ人は誰しも、北に小坂、南に尾去沢と 相対して鬱勃雲の如く天を掩ふ鉱煙を望み見て、此の壮大なる人工的風致に胸を躍さゞるを 得ないであろう、実にや特有の俗謡「からめ節」の所謂「せまい様でも鹿角の里は西も東も 金の山」と唄ふが如く、郡内到る所として鉱山の所在ならざるなく、大正九年の調査による 全郡の鉱区数九十九の中、稼行せるもの二十二、其坪数八百五十五万六千八百十一坪と 現はされて居る、其中で藤田の小坂と、三菱の尾去沢の二大鉱山は相対して鉱業の鹿角を 代表し、鉱業地として全国に覇を唱へて居るのである。

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