「桑の實」
 
〔桑の実〕
むなしくも迎ふる夏ぞ桑の実の
  つぶら赤きはかなしきものを

かくてまたふたたびを迎ふ夏は来ぬ
  背戸の桑の実黒く熟れつつ

いくそたび迎ふる夏ぞ桑の実の
  色づくみつつひとりかなしむ

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