7001良いお爺さんと悪いお爺さんの話
 
                       参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
 
 昔、昔あったのです。
 意地悪なお爺さんと人の良いお爺さんが、隣り合わせに住んでいました。
 良いお爺さんは、屋根に上がって、
「雁ガンのマナグ(目)さ、アグ(灰)入れ、爺のマナグさ、アグ入るな」
と言って、アグを撒きました。そうしたら、雁のマナグにアグが入って、雁はバダバダ
と落ちてきました。
 
 その夜、良いお爺さんは、美味しい雁汁を作ったので、隣りの意地悪なお爺さんとこ
もよんで、ご馳走したそうです。隣りのお爺さんは、あんまり美味しかったので、今度
は自分でも屋根に上がって、雁を捕ろうとしてアグを撒くとき、間違って、
「雁のマナグさアグ入るな、爺のマナグさアグ入れ」
と言っていまいました。意地悪爺さんの目は、それからすっかり見えなくなってしまっ
たと云う。だから意地悪はされないものだ。どっとはらぇ。(毛馬内)
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