61 馬鹿爺の話
 
                 参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角のむかしっこ」
 
 昔、あったのです。
 ある処に、爺様ジサマと婆様バサマと、居ました。
 爺様は頭っこが少し足りませんでした。
 ある時、黄粉キナコを叩ハタくので、
「爺様や、爺様、隣りへ行って、粉卸しコロシを借りて来い」
と言ったが、爺様は少し足りないから、
「コロシ、コロシ、・・・・・・・・」
と言いながら行ったのでした。忘れてはならないと思って、そして、堰セキをぽんと跨マタ
いだ拍子ヒョウシに、
「おっとこ、おっとこ、・ ・ ・」
と言って、コロシを忘れてしまいました。そして隣りへ来て、
「ご免下さい。おっとこ貸して下さい」
と言いました。
 どっとはらえ。

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