60 蛙カエルの女房ニョウボウ
 
                 参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角のむかしっこ」
 
 昔の話っこです。
 「俺オレは、飯ママを食わないで、旨く御汁オツユを煮る嫁カガが欲しい」
と言いました。
「俺は、飯を食わないで、旨く御汁煮る」
い言って来た女オナゴがありました。そうしたところで、
「そうしたら、お前を嫁にする」
と言いました。
 それはな、それはぎゃろ(蛙カエル)が人間に化けていたものなのです。
 そして、飯を食わないで、旨い御汁を煮て食わせました。「飯を食わなくても、どう
して旨く御汁を煮るのかな」と思って、今度はそれ、夫エデが隠れて見ていました。
 そうしたら、御汁鍋を架けて、今度はガボンと手前(自分)で跳ねて入りました。そ
して、ガバガバと体を洗って、そして、でろっと上がって、御汁を煮て食わせました。
 
 「この畜生、体を洗って、こうやって御汁を煮たものだろう。返しを執トって呉クれる
」と思っていました。あるとき、
「神楽カグラがあるために、神楽を見に行く」
と言いました。
「行って来い」
と言ったら、そうしたら、嫁は這ハって行きました。
 「何処ドコへ行くのだろう」と思って、後ろを付いて見たら、前の良い草にガボッと倒
れました。
 「どう言うことをやるのだろう、神楽をやると言っているので、黙ダマって見よう」と
思っていたら、今度は蛙がみんな集まって、ガクガクガクと叫びました。
 お祭りなのです。その騒いでいる奴等にガッポリ石をぶっつけました。そうしたら、
ピッタリ止めました。
 
 そうしたところで、家へ戻って黙って、知らぬ振りをしていたら、嫁も戻って来たの
で、
「今夜の神楽はどうでしたかな」
と聞きました。
「大した、賑やかで面白いところへ、石が詰めて来たために、はい、止めました」
と言いました。
 これは、おどさん(夫)が、それ、「石をぶっつけたのだと知らないでいたので、こ
の畜生」と思って、「俺を騙ダマしたので、俺もだましてやろう」と思って、嫁のことを
追い出しました。
 どっとはらえ。

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