53 みそさざえ(大湯)
 
                 参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角のむかしっこ」
 
 昔、山から鳥達がいっぱい集まって来ました。多分お宮かお寺のような大きな木が、
沢山生ォがっていた処でした。
 鳥の大将の尾長鶏オナガドリがね、鳥達皆に向かって、
「朝日を見た鳥が、一番賢サカしい鳥だ」
と言いました。すると、みそさざえが前の方に出張デハって来て、西を見たり、東を見た
り、キッチョ、カッチョ、キッチョ、カッチョして居たのであったけれども、突然一番
先に、
「俺オレは朝日を見た」
と大きな声で言いました。
 すると、他の鳥達も、皆銘々メイメイに、
「朝日を見た。朝日を見た」
と言ったけれども、みそさざえはキッチョ、カッチョ、キッチョ、カッチョして、何も
かも忙セワしなくして、騒サワいでならないために、みそさざえが「一番、賢しい鳥だ」と
云うことになりました。
 それから、今でも落ち着きのない者のことを、「みそさざえみたいだ」と言うように
なりました。
 どっとはらえ。

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