4601ガン汁の話ッコ
 
                       参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
 
 昔、あったのです。
 じなとばばが居ました。じなは、山へ行ってガンを捕ってきて、ガン汁を煮て食いま
した。そうしたら、隣りの婆様バサマが、
「火ッコ、呉れて下さい」
と、来ました。
「火ッコもやるけれど、まずまず、俺のじなが山からガンを捕ってきて呉れたから、ガ
ン汁に煮ているので、まず、入って下さい」
と言いました。そして、ガン汁を食うことが出来ました。そうしたら、隣りの婆様が、
「旨いこと、旨いこと」
と言って、ご馳走になりました。
 
「あんまり旨いガン汁なので、俺家オラエの爺様ジサマにも食わせたいなあ……」
と言いました。隣りの婆様は、ガン汁を貰って帰る途中、あんまり旨いので、実ッコを
みんな食いました。その代わりに、馬の糞クソを入れて、爺様へ持って行きました。
「爺様、爺様、隣りからまずまず、旨いガン汁を貰ってきたので、食って下さい」
と言いました。爺様に出したら、
「汁ッコは旨いけれど、実ッコは小臭いな」
と言いました。どっとはらぇ。(大湯)
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