4201うるしめっこと山のさき
 
                       参考:鹿角市発行「十和田の民俗」
 
 昔、昔あったのです。
 ある所に、うるしめっこと云う綺麗な、一人の娘がありました。隣り村の長者へ嫁に
行くことになっていました。
 お爺さんとお婆さんは、用を達しに行くとき、
「山のさきが来ても、絶対に戸を開ければだめだよ」
と言って出かけました。
 
 そして、間もなく、
「うるしねっこ、居たか」
と、山のさきが来ました。
「うるしめっこ、戸を開けろ!」
と言いました。
「お爺さんとお婆さんに、戸ッコを開けるなと言われたもの」
「一寸だけ開けろ」
と山のさきがあんまり、しつこく言うので、ほんの少し開けると、戸を押し開けるよう
にして、山のさきが家の中に入ってきました。
 
「うるしめっこ、俺の背中に負んぶされ」
と言いました。
「お爺さんとお婆さんに怒られる(しかられる)から負んぶされない」
と、うるしめっこが言いました。
「何故だ、負んぶさるようにしろ」
と山のさきは、どうしても、うるしめっこを連れて行こうとしました。
 
「お前の背中に負んぶされば、痛いもの」
と、うるしめっこが言うと、山のさきはあきらめないで、
「うるしめっこ、そうしたら、お前の前掛けを俺の後ろにやって負んぶされ」
と、山のさきはあきらめません。そして今度は、
「うるしめっこ、草履ゾウリを履け」
と言いました。
「草履は無いもの」
とうるしめっこが言うと、山のさきは怒って、うるしめっこを無理矢理負んぶして、山
へ柿取りに連れて行きました。
「オレにも、けれ(くれろ)!」
とうるしめっこが言うと、山のさきは青い渋柿ばかりを投げてよこし、うるしめっこを
いじめました。そして、うるしめっこを縛って柿の木に吊し、うるしめっこに化けて、
明日のお嫁入りの支度をしました。
 
 次の日、長者から迎えが来て、『うるしめっこ』に化けた山のさきは、迎えの駕籠カゴ
に乗りました。
 丁度柿の木の所へ来たら、
「うるしめっこの、乗る駕籠に、山のさきに乗られた……。くやしいな、くやしいなー」
と、烏がガアガアと騒ぎ、啼く声がしました。
『おかしい……』と思って、迎えの者達ちが、駕籠を置いて、柿の木の所へ行って見たら、
うるしめっこが吊されていました。
 びっくりして駕籠の方を見たら、山のさきが駕籠から出て逃げ出しました。みんなで
追いかけて、山のさきを捕まえて、叩きました。
 
 山のさきは、尻から血を流し、山の萱カヤの茂みの中へ逃げて、隠れました。そのため、
萱の下部が、山のさきの流した血で染まって、今でも赤くなっているのです。どっとは
らぇ。(大欠)
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