30 豆三つ見つけた話(八幡平)
 
                 参考:鹿角市発行「陸中の国鹿角のむかしっこ」
 
 昔、あったのです。
 ある処に、爺なジイナと婆ババと居ていました。爺なは山へ柴切りに行って、婆は家に
居て、座敷を掃いてから、庭掃きしました。そしたら庭の隅こから豆こ三つ見付けまし
た。婆はうんと喜んで、爺なが山から来るのを待っていました。
 晩バンゲになって、爺なが柴を背負って帰って来ました。婆は機嫌キゲンこ良く、
「爺なや、爺な、良い物見付けた」
「何じゃ」
「庭を掃いていたら、隅こから豆こ三粒見付けた。煮て食ったら良いか、煎って食った
ら良いか、どうしたら良いだろうか」
と言って、大きな袋から豆こ三つ出して見せました。爺なは、
「これは、大したものだ」
と誉めて、
「一粒は種こにして、後の二粒は煎って二人で食おう」
と言って、大きな鍋を火に架けて、煎って食べました。
 爺なと婆は、畠を耕して豆こを一粒蒔いたら、なったのなんの、升マスで量ハカり切れな
いで、箕ミで量る位取れました。
 爺なも婆も大喜びで、米こ一粒でも大事にしたために、村一番の大金持ちになりまし
た。
 どっとはらえ。

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